効果が同じ薬にも適用される「共連れルール」も…

このルールの最大の目的は、特定薬剤の売り上げ伸長が社会保障費を圧迫する懸念を軽減することにある。同時に製薬企業に対する国の論理をざっくり表現すると、「予想以上に売れているのだから、薬価引き下げで利益率が低下しても十分利益は確保できるだろう」というもの。

ある医薬品が発売当初の予想を超えた売上高になるのは、多くは医師や患者に効果や安全性が評価されているからなのだが、薬価上は真逆の“罰”を課される。

しかも、市場拡大再算定では通称「共連れルール」というものがある。

例えばA薬という新しい効き方をする薬があり、これと効き方が同じだが有効成分が異なるB薬、C薬という薬があるとする。この時にA薬で市場再算定が適用されると、バランスをとるためにB薬、C薬も同時に薬価を引き下げられるのだ。

この結果、日本は他国と比べ医薬品市場の成長が抑えられがちになる。

ジェネリック医薬品の浸透でさらなる市場縮小

2つ目の理由は、近年のジェネリック医薬品(以下、ジェネリック)の急速な浸透である。

新薬の特許失効後に登場する同一成分で安価な薬であるジェネリックの国内での数量ベースのシェアは15年前の2007年時点で約35%だったが、現在ではこれが約80%となっている。

これも少子高齢化による社会保障費増大を懸念した政府が、2007年に閣議決定した「経済財政改革の基本方針2007(骨太の方針2007)」以降、ジェネリック数量シェア目標を定めて使用推進を掲げた諸政策の結果だ。

そのため最近では新薬の特許失効でジェネリックが登場してから半年程度で新薬市場の6~7割がジェネリックに置き換わることも少なくない。例えば売上高500億円の新薬の特許失効後、半年で7割がジェネリックに置き換わると仮定しよう。この場合、新薬の売上高は150億円に縮小。一方、残る350億円分はジェネリックに置き換わるが、ジェネリックの公定薬価は原則その時点の同一成分の新薬の半値と規定されているため、市場規模は175億円に低下する。つまり500億円の市場は、半年で325億円へと100億円以上も縮小する。

さらに先進国トップの少子高齢化が進行する日本は、2010年の総人口1億2750万人をピークに人口減少の一途をたどり、半世紀後の2060年には9615万人。2070年には9000万人すら下回ると推計されている。このようにそもそも購買人口が今後減少する以上、製薬企業はもちろん製造業の多くは日本市場のみに執着すれば、必然的に衰退することになる。

そこで目が向くのが海外市場である。