2012年8月22日(水)

なぜ、ルールの多い組織では仕事の質が低くなるのか

「時間×思考×直感」67のパワフルな技術【1】ルールとモラル

PRESIDENT BOOKS /PRESIDENT Online スペシャル

著者
横田 尚哉 よこた・ひさや
株式会社ファンクショナル・アプローチ研究所代表取締役社長

横田 尚哉

顧客サービスを最大化させる経営コンサルタント。世界最大企業・GE(ゼネラル・エレクトリック)の手法を取り入れ10年間で総額1兆円の事業改善に乗り出し、コスト縮減総額2000億円を実現させる。「30年後の子供たちのために、輝く未来を遺したい」という信念のもと、そのノウハウを潔く公開するスタイルは各種メディアの注目の的。「形にとらわれるな、本質をとらえろ」という一貫したメッセージから生み出されるダイナミックな問題解決の手法は、企業経営にも功を奏することから「チームデザイン」の手法としても注目が高まっている。著書に『問題解決のためのファンクショナル・アプローチ入門』『ワンランク上の問題解決の技術《実践編》』(ディスカヴァー刊)がある。

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横田尚哉
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ルールとモラルの違いを知る

ルールとモラルの違いをご存知でしょうか。

モラルは、私たちが目指すべき中心点です。中心に近ければモラルが高く、同心円状に離れていくほどモラルは低くなります。

ルールは、モラルからこれ以上離れてはいけないという限界を示す境界線です。ルールは、守るか守らないか。一線を越えたらアウトです。

コンプライアンスが叫ばれる昨今、国や企業は以前に増して多くのルールを導入するようになりました。これはあまり望ましい状況ではありません。ルールが強調されると、境界線上の内側ぎりぎりのところに立つ人が増えます。モラルの中心から離れているのに、「ルールは守っているから問題ない」といって平気な顔をする人が増えるのです。

ルールは、モラルから離れないように自分たちを律するための手段の一つに過ぎません。私たちが目指すべきは、より高いレベルのモラルを身につけることです。ところがルールを強調しすぎると、ルールを守ることが目的化して、モラルが軽視される逆転現象が起きる。過剰なルールが、かえってモラルの低下を引き起こすのです。

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マニュアル依存の危険性は危機のときに現れる

弊害はそれだけではありません。ルールが増えれば、手続きも増えます。手続きが増えれば組織の効率も落ちます。

組織がルールでがんじがらめになると、物事への柔軟な対応も難しくなります。現実社会は複雑で、ルールの向こう側だがモラルとして正しいことがいろいろあります。

優先すべきは、ルールよりモラルです。

ところが「ルールを守れ」と言われ続けるうちに、多くの人は形式主義に陥り、「ルールで決まっているからダメ」と硬直的な対応をしてしまいます。これは、組織を停滞させる原因の一つになります。

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