SIDSを予防するための手立てとは

窒息防止策を講じていない場合、SIDSのリスクも高くなります。SIDSは、2歳くらいまでの乳幼児が、何の予兆や既往歴もないまま死に至る原因のわからない病気です(※1)。その対応策は、東京都の「認可保育所の指導検査について(保育園での事故を防ぐために)」によると、次の通りです。

○照明は、睡眠時の乳幼児の顔色が観察できるくらいの明るさを保つ。

○乳幼児のそばを離れない。

○乳児を寝かせる時は、仰向け寝を徹底する。
1歳児以上でも、子供の家庭での生活や就寝時間、発達の状況など一人一人の状況を把握できるまでの間は、必ず仰向けに寝かせる等、子供の安全確認をきめ細かく行う。

○保護者との緊密なコミュニケーションを取る。
家庭での子供の様子、睡眠時の癖、体調等を保護者から聞き取る。
預かり始めの時期や体調不良明けは特に注意して聞き取る。

○睡眠時チェックをきめ細やかに行い、記録する。

睡眠時のチェックとは、乳幼児の体に触れながら、寝つきや睡眠中の姿勢、顔色、呼吸の状態、体温などをみることで、0歳児は5分に1回、1〜2歳児は10分に1回が望ましい間隔とされています。こうしたガイドラインを守って保育をしている園でも、原因が明確でないSIDSは防げないこともあります。でも、ガイドラインに沿った予防策を取っていない保育園だと、SIDSや窒息のリスクが高くなるのです。

※1 厚生労働省「乳幼児突然死症候群(SIDS)について

赤ちゃん
写真=iStock.com/Tom Merton
※写真はイメージです

食事の時間はアレルギーや誤嚥が心配

そして食事中も、保育事故の起こりやすい時間です。一つには食物アレルギーのある子に、間違って除去食以外を食べさせてしまうことがありえるためです。多くの園では、アレルギーのある子のテーブルをまとめたり、名前を記載したりなどの工夫をして取り違えが起こらないようにしていると思います。

また、乳幼児は食事の際に、食べ物が食道ではなく気道にいく「誤嚥ごえん」によって窒息することがあるためです。ですから、保育者による見守りが欠かせません。特に食事をするようになって間もない1〜2歳児や、よく噛まず丸呑みしてしまうことのある3〜4歳児は、窒息しやすいため、保育者は食事中の子供を常に注視し、口に入れる大きさや量は適切か、よく噛んでいるか、うまく呑み込めているかを確認しなくてはいけません。

特に注意が必要な食品は、プチトマト、乾いたナッツや豆類、うずらの卵、あめ類、ラムネ、球形のチーズ、ぶどう、さくらんぼ、餅など。これらの食品は、小さく噛みやすいようカットしたり、そもそも提供しないといった対策が必要です。