「勝利を宣言して戦争を終結させるべきだ」

ロシア傭兵集団「ワグネル」のトップが4月中旬、実質的な停戦を求めるメッセージを発表した。ワグネルはロシアによるウクライナ侵攻に兵士を送り込んでいるが、戦争はプーチン大統領の当初のもくろみを外れ、泥沼化している。

ロシア南部クラスノダール地方で、自社戦闘員の墓地を訪れたロシア民間軍事会社ワグネル創設者のエフゲニー・プリゴジン氏(同氏傘下のコンコルド社がテレグラムに投稿した動画より)
写真=AFP PHOTO/Telegram channel of Concord group/時事通信フォト
ロシア南部クラスノダール地方で、自社戦闘員の墓地を訪れたロシア民間軍事会社ワグネル創設者のエフゲニー・プリゴジン氏(同氏傘下のコンコルド社がテレグラムに投稿した動画より)

トップによる今回の発言は、停戦へ持ち込まなければワグネルの維持に問題が生じるとの焦りがにじみ出た形といえそうだ。

急遽数万人の囚人を雇って頭数を稼いだワグネルだが、海外報道によると、訓練不足による大規模な兵員喪失に加え、前線の維持に多額の支出を迫られ経済的な痛手を負っているとの指摘がある。

ブルームバーグによると、ワグネルを率いるエフゲニー・プリゴジン氏は4月15日、メッセージアプリ「Telegram」上で私見を発信した。ロシアはウクライナでの「特別軍事作戦」の目標を達成したと宣言すべきだと述べ、これにより、これまでに占領した領土の維持に専念できるとする内容だ。

長期化すればロシアは解体する

アメリカ議会が出資する放送局のラジオ・フリー・ヨーロッパは、このメッセージにおいて同氏が、さらに踏み込んだ発言を行ったと報じている。ウクライナでの紛争が長期化するにつれ、ロシアの解体につながるおそれがあると指摘したという。

プリゴジン氏はメッセージを通じ、「昨日まで特別作戦を支持していた人々の多くが、今日は疑念を抱くか、もしくは状況に対して断固反対の立場を取っている」と述べ、「特別軍事作戦」の厳しい現状を指摘した。氏は、ウクライナ侵攻での目標はすでに「達成された」との見解を明かし、戦闘を終結するよう主張している。