1件で数百円から1000円台程度の収入であり、ガソリン代を引くと手元に残るのはすずめの涙だ。生活を維持するためにはチップに頼らざるを得ないが、置き配の浸透で頼りのチップが減少傾向にあり、配達員たちは頭を抱えている。

働いた挙げ句、ほぼ利益なしという例も報じられている。テキサス州で配達を始めたという男性は昨年、インサイダーに対し、深刻な実入りの少なさを明かした。

ふだんは家庭教師として働いているこの男性は、2週間の休職期間が生じたことから、Uber Eatsを始めて収入の確保を試みたという。しかし、土曜日の夕方という稼ぎ時に臨んだ配達員生活の2日目、4時間をかけて8件の配達をこなしたものの、合計の利益はわずか37セント(約50円)にすぎなかった。

スウェーデン・ヨーテボリで、原チャリで移動するウーバーイーツ配達員
写真=iStock.com/nrqemi
※写真はイメージです

ガソリン代の高騰でかさむ配達経費

配達の合計収入自体は、30.97ドル(約4200円)あったという。うちチップが7.89ドルと、25%以上を占めており、割合としては良好な水準だ。だが、手元に残る取り分をはじき出すためには、配達で消費したガソリン代を差し引く必要がある。

合計収入からガソリン代の30.60ドルを差し引くと、4時間で37セント(約50円)の利益にしかならなかったと男性は語る。インサイダーに対し、「2回目(この日)が最後のシフトになりました」と述べ、早々に見切りを付けたと明かした。男性は「もう二度とやらない」とやるせなさをにじませる。

Uberはインサイダーに対し、「ここに書かれている体験は典型的なものとは異なります」との声明を寄せ、特殊なケースであるとの見解を示した。

だが、配達員を取り巻く環境は確実に悪化している。昨年3月からガソリン価格は高騰しており、配達に必要な経費は上がる一方だ。

対策としてUberは、配達サービスと配車サービスの両方について、1回につき35~55セント(約47~74円)を顧客に上乗せして請求している。しかし、インサイダーの取材を受けた配達員6人は、この差額ではガソリン価格の上昇を到底カバーできないと語った。

チップを企業が横取りしていたケースも

ニューヨーク・タイムズ紙はフードデリバリーという業務について、レストランのウエイターやウエイトレスよりもさらにストレスが多いと述べている。渋滞を抜け、階段を駆け上がり、吠える犬をかわし、そしてフードやドリンクがこぼれないよう慎重な配達が求められるためだという。

こうして苦労した配達員をねぎらうチップだが、本人に届いてすらいなかった例もあるようだ。日本でも展開し、すでにWoltとの統合でサービス終了したDoorDashの米法人は、2019年、チップを実質的に会社側が横取りするシステムになっていたとして訴訟を起こされた。250万ドル(約3億4000万円)で和解している。

アメリカではウエイターなど一部の職種が最低賃金の規制外となっており、これを補う目的でチップを弾むことが習慣となっている。ミネソタ州の女性は米FOXニュースに対し、フードデリバリーはウエイターやウエイトレスに近いため、チップを渡すことは当然だと語った。