2012年8月11日(土)

お金のために神経をすり減らしていませんか? -英国流幸せ哲学とは【1】

お金とは一代で使い切るものです

PRESIDENT 2010年7月5日号

井形慶子 構成=面澤淳市 撮影=的野弘路、平地勲 写真提供=井形慶子事務所
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z前年比2割減、3割減は当たり前。「年収崩壊」とまでいわれるこの時代、幸せに生きるにはどうすればいいか。お手本は成熟社会の代名詞イギリスにあった。
井形慶子
長崎県生まれ。28歳で出版社を設立し、英国生活情報誌「ミスター・パートナー」を創刊、同誌編集長。90回以上の渡英経験を生かした著書多数。http://www.mrpartner.co.jp

世界の金融センターであるロンドンは世界一物価が高い都市としても知られています。金融危機に直撃されたいまも、中心部では高年収のエグゼクティブが肩で風を切る姿が見られます。

とはいえ、一般のイギリス人は概して日本人よりも低い収入で質素な暮らしを送っています。質素だから不幸なのではありません。むしろ、年収が高い日本人よりも精神的には充実した生き方をしています。

どこが違うのでしょうか。

いまの日本人は老後に対する不安がとても強いといわれます。不安解消のためにすがるのは「お金」しかありません。

「退職金や年金だけでは絶対に足りない」と思い込み、若いころから貯蓄や利殖に励む人も大勢います。

ところが、お金とは不思議なもので、いくら増えても不安感を消し去ることはできません。

一方のイギリス人は、収入が低いうえに貯蓄高も知れています。もともと「お金は一代で使い切るもの」という発想があるからですが、それでも不安を持たずに生きられるのには理由があります。

イギリス人にとって老後の安心のもとは住宅です。まず20代で古い小さな家を購入し、増築したり自分で内装を工夫したりして高値で転売し、少しずつ大きな家に移っていく。やがて子どもが独立したら小さな家に住み替え、そこで生じた差益分を老後資金にあてるというライフプランです。貯金をする代わりに、家に手間ひまとお金をかけるのです。

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