若年層を除いて全国平均よりも肥満度が高い

肥満度は体重(kg)を身長(m)の二乗で割ったBMI(Body Mass Index)で示され、日本では25以上を肥満と判定します。たとえば肥満大国のアメリカではBM130以上を肥満としていますが、これだけ判定を甘くしても国民の30%以上が肥満と判定されています。BM130というのは日本人の感覚で考えると相当肉付きのよい体格となります。

それでは沖縄県民の肥満度を見ていきましょう(図表4)。男性、女性の各年齢層におけるBMIが25以上の肥満者の割合について、沖縄県と全国の平均値を棒グラフで示してあります。男女ともに20代を除いて、いずれの世代でも沖縄県の平均値は全国平均を上回ります。特に沖縄県の50代男性の50%は肥満と判定されており、総合すると男女ともに肥満度が高いということになります。

肥満が糖尿病による死亡率の増加、平均寿命の低下の原因となっていることは明らかですが、唯一の希望は20代の若年層が全国に比べて肥満度の低いことです。この年齢層の若者が健康志向を維持しつつ適正体重を保ち、年齢を重ねていくことが望まれます。

エネルギー摂取量は平均以下だが…

それでは食生活の現状はどうなっているのでしょうか。図表5では20歳以上成人の食事からのエネルギー摂取について、全国との比較を示しました。肥満度が高いからエネルギー摂取量も高いというわけではなく、男性・女性ともに食事からのエネルギー摂取量は全国平均を下回ります。つまり過食・飽食ではないということです。

しかし脂肪エネルギー比率(脂質からの摂取エネルギーが総摂取エネルギーに占める割合)を見ると、男女ともに全国平均を大きく上回っています。つまり、カロリー摂取はやや控えめであるものの脂肪分に富んだ食材を摂っているということで、これが肥満度を上昇させる一因となっていると考えられます(図表6)。

沖縄県には鉄道がなく、日本有数の車社会であることも大きく影響しているでしょう。沖縄県のケースは、食生活の変化が予想以上に健康・寿命に強い影響を与えるということを示唆しており、これは食の重要性を物語る証左として心にとどめておきたい事例です。