公共の関心事ならば、躊躇することはない

このとき週刊文春(7月21日発売の7月28日号)は、「鳥越俊太郎都知事候補 『女子大生淫行』疑惑 被害女性の夫が怒りの告白!」と報じたのである。

小池百合子候補が優勢だといわれている中で、民進党、日本共産党、社会民主党、生活の党と山本太郎となかまたちの推薦を受けた鳥越氏は、元人気キャスターということもあって、有力な対抗馬として注目を集めていた。

鳥越氏はこの報道が事実無根だとして、選挙中に東京地方検察庁に対し刑法第230条名誉毀損きそん罪などで提訴したが、会見は開かなかった。

スキャンダルの影響もあってか、小池候補に100万票以上の差をつけられ、鳥越氏は落選したのである。

翌年の3月、鳥越氏が刑事告訴していた週刊文春と週刊新潮の編集長に対して、東京地検特捜部は「嫌疑不十分」だとして不起訴処分にした。

この判決が、選挙中でも、しっかりした事実の裏付けがあり、公共の関心事ならば、報道することに躊躇することはないと、週刊誌を勇気づけたことは間違いない。

だが、今回は、黒岩氏がすぐに会見を開いて、「『県民の皆さんに大変な不快感を与えてしまった。がっかりさせてしまった』と頭を下げた」(日刊スポーツ4月6日11時42分)と謝罪したことが、鳥越氏の時と違った。

それに、失礼ないい方になるが、有力な対抗馬がいない実質無風選挙だったこともあり、黒岩氏の優位は動かなかった。

だが、「悪評」はどこまでもついて回る

事実、4月9日に投開票された神奈川知事選は、2位に130万票近くの大差をつけて黒岩氏が当選した。投票率も40.35%と、前回、前々回とほぼ同じであった。

だが、白票、無効票が前回より12万票増え21万票もあったことが、県民の“怒り”を表していた。

事務所に来た黒岩氏に笑顔はなく、万歳三唱もなかった。黒岩氏は、「神奈川のプライドを傷つけてしまった」「これからゼロからのスタートではなくてマイナスになった」「正直今の私の心境としては万歳と言って喜ぶ心境ではない」と語った(以上はスポーツニッポン4月10日付より)。

自民党関係者は「もう少し早く不倫報道が出ていれば結果は分からなかった。ほかの候補者の知名度が低くて救われただけ。有権者は苦渋の選択を迫られた」(同)といっている。

しかし、これからの4年間は茨の道になるだろう。妻をだまして長年不倫関係を続け、知事選に出るとなったら彼女を冷たく捨て去った男という「悪評」はどこまでもついて回る。

黒岩知事が、「県民目線の県政」「やさしい社会の実現」といくらいっても、もはや県民の胸に響くことはないだろう。

私は、黒岩知事は任期半ばで自ら降りるのではないか、そんな気がしている。

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