同じソフトが他の端末でも使えるからこそ便利

PCはリアルにも仮想的にもネットワークを形成している製品である。同じソフトウエアやデータが同じように他の端末でも使えるからこそPCは便利に使える。こうした特性を「ネットワーク外部性の便益」と呼ぶ。ネットワーク効果という言い方をすることもある。

ネットワーク外部性があるということは、個々の製品そのものの機能の違いよりも、同質的な製品が結ばれたネットワークの規模、つまり、どのPCでも同じデータが使えたり、同じソフトが使えたりする、ユーザーの数が多いことである。

ネットワーク外部性の便益とは、ユーザーの数が大きければ大きいほど、製品の価値が高くなるということである。例えば、iPhoneやAndroidは一定数の数のユーザーの数があり、ユーザー数が多いからこそ多くのアプリが開発され、iPhoneやAndroidはスマートフォンとしての価値が高いと言える。

一方、かつてマイクロソフトが開発したWindows Phoneはデザインや個々の機能面では優れた端末であったが、ユーザー数が少なく、専用アプリが少なく、スマートフォンとしての価値は低く評価された。これがネットワーク外部性の意味である。

「ソニーのVAIO」は互換性に乏しいPCだった

PCでネットワーク外部性の便益があるということの前提には、互換性が求められるということがある。全てのPCで全てのソフトウエアやデータが同じように機能しなければPCとして役に立たない。

かつてのソニーのVAIOにはVAIO専用ソフトが山盛りに搭載され、それが他のソフトウエアとの互換性の問題を引き起こす、スペックの割にもっさりした動作になるなど、PCに慣れたユーザーからは、「VAIOはデザインは良いけれども、プリインストールされたソフトがなければもっと良いのだが……」という声がよく聞かれていた。

2014年2月5日、東京の家電量販店でソニーのパーソナルコンピューター「VAIO」の説明を受けている客たち。
写真=AFP/時事通信フォト
2014年2月5日、東京の家電量販店でソニーのパーソナルコンピューター「VAIO」の説明を受けている客たち。

ソニーのVAIOは非常に癖があり、標準的でなく、互換性に乏しいPCであったという言い方もできる。その点、今回のVAIO社が目指すVAIOは定番である。ネットワーク外部性の便益を最大化する、最も同質的で互換性の高いPCを作ろうとしている。これはPC事業の本質的な価値創造といえる。