多くの家庭に大学費用の“全額負担”がのしかかる

気を付けたいのが授業料以外にかかるお金です。図表1にもあったように、塾や模擬テスト、習い事など学校教育費以外の費用負担も大きいので、高校の進学費用に対して支援金制度があったとしても、何も準備しなくてよいというわけではありません。

大学の費用に関しては、2020年から高等教育の修学支援新制度がスタートしています。制度の内容は、入学金・授業料の免除または減額、給付型奨学金の支給の2つですが、住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯が対象で、経済的な事情等で進学が困難な学生に限定されています(※6)

親が大学費用を工面できない場合、親が教育ローンを借りるか、子どもが奨学金を借りる方法があります。返済義務がありますから、親や子どもの今後のライフプランにも影響を与えます。直前で慌てなくてすむよう、できるだけ事前の準備を整えておくことが望まれます。詳しくはこちらの記事を参照ください。

軽い気持ちで借りてはいけない…利率は低いが延滞すると超ヤバい「奨学金」という借金の注意点〉(2022/07/25)

(※6)高等教育の支援策拡充が検討中

働く母親ほど給付が手厚い4つの支援制度

ここまで、子どもの誕生から大学までの公的支援を見てきましたが、現在のところ、支援が薄く高額になりがちで、進学率が6割近くとなっている大学の費用に照準を定めて準備を進めていく必要がありそうです。

さらに広い視点で出産や子育てにまつわる給付を整理したものが図表3です。働く母親に給付されるもの、あるいは母親が働いている場合により手厚い給付が受けられるものに網掛けをしています。

子どもに関する給付
図表=筆者作成

健康保険の被保険者であれば、産前産後の休業中に給料の3分の2の出産手当金を受け取ることができます。その後、育児休業を取得した場合、雇用保険から給料の67%の育児休業給付金を受け取ることができます。いずれの給付金も非課税で、社会保険料も免除されますから、たとえば、育児休業給付金の手取りは休業前の8割程度を確保できます(※7)

(※7)所定の要件のもとで手取りが10割になるよう検討中