いい医師は薬が効いたかどうか答え合わせをしたい

なぜ1カ月後だと長すぎるかというと、患者さんにとってデメリットが出てくることもありうるからです。

例えば、次回診療を1カ月後にした場合、「便秘には効いているんですが、1カ月間ずーっと下痢でした」となっていたとしたら、患者さんが可哀想すぎます。

このように効きすぎも困るし、反対に1カ月飲んだのに、まったく効いていないのも気の毒すぎる。そうならないように、もう少し早く具合を知って、次どうするかを決めたいんですよ。

だから僕は、可能な限り、次回の受診予約を2週間後にしています。10日後でも支障ありませんが、基本的には曜日が決まっていたほうが、患者さんも予定が組みやすく、何かと都合がいいのではないかと思いまして。

仮に「第1・第3月曜日の午前中は病院」と決まれば、生活にリズムが生まれますよね。「便はリズム」であり、「薬を飲む→結果を医者に伝えに来る」という治療の過程もまた、大事なリズム。患者さんと医者が共に生み出すリズムも、快癒のためには欠かせません。下痢にも便秘にも様々な薬があり、各人の病態によってその都度、効果を見極めながら処方していきます。

裏を返せば、「全員に効く」あるいは「これさえ飲めば、みーんな完治」という薬は、なかなかない。治すには医学的なコツがどうしても必要です。

症例数を積んでいる医者には、自然とそのコツが身についているもの。過敏性腸症候群であれば、この病の治療に力を入れている医者が当然、いいわけです。

もし「こんなのは精神的なモンですよ」、あるいは「気にしないように」で済ませている医者がいるならば、その先生はもう、あなたの病には興味がない。「私が治す!」という意識がないのかもしれません。

患者さんはつらいのをなんとかしたいから来ている。それならば「取りあえず、この薬を飲んで様子見てね」で終わりにする医者よりも、「これ飲んで、次回は2週間後に見せてください」と言ってくれる医者のほうが安心しませんか。

たった1回の診察ではとうてい終わらない病なのはわかっているのですから、「次回の約束」を取り付けてくれる医者は、その後も自分で診る意思があるということになるんですね。

「今度は○日に来てください」とお願いする医者は、処方した薬を患者さんが正しく服用した結果、どうなったかを知りたいのです。前回の治療が正解だったのか、不正解なのか。言葉は適切ではないかもしれませんが、要は“答え合わせ”をしたいんです。

そうしているうちに「9割の人にはこの薬が効いたけど、このパターンには効かない」というようなデータがどんどん蓄積されていきます。経験を積むたびに、医者としてのレベルも上がっていくんですね。

石黒智也、鳥居りんこ『消化器内科の名医が本音で診断「お腹のトラブル」撲滅宣言!!』(双葉社)
石黒智也『消化器内科の名医が本音で診断「お腹のトラブル」撲滅宣言!!』(双葉社,、鳥居りんこ 取材・文)

過敏性腸症候群のように、神経的な要因で誘発される症状は特にそうなんですが、残念ながら万能薬はありません。

しかし、どこの病院に行っても「たくさんの人たちに効いている」との理由で最初に処方されやすい薬は、あることはあります。そして、2回目の受診時に、患者さんが「なんか全然効かなかったです」と伝えた場合。きちんと話を聞いて、次の治療方法を提案してくれるドクターと、「これで効かないのはおかしい」と首をかしげるドクター、おそらく二通りに分かれるでしょう。

確かに、100人中80人に効果アリという臨床結果が出ている薬を服用すれば、症状が改善される確率は高いです。でも、すべての人に間違いなく効くわけではない。効かないのは患者さんのせいではありません。「普通はこれで効くんですけどね」程度の反応で、他の治療も提案されずに診察終了となったら、いつまでたっても病気は治らないでしょう。

「人それぞれ体は違う」のを理解した上で、次の策を伝えてくれる医者は、次回の診察日もちゃんと決めてくれるはず。ぜひ、そんなドクターに診てもらいましょうね。

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