高利回り商品の落とし穴

【パパ】ほかにも、大手証券会社から利回り17%の外債投資の営業を受けているって相談があったとき、こんなふうに答えたんだ」

大手証券会社なら、金利1%以下で借入ができるでしょう。それなら、差し引き17%-1%=16%も利回りがとれるので、銀行から1億を借りて投資すれば、年間1600万円の利益。10年運用すれば、1億6000万。そうなってから元本を返しても、元本以上の利益が手元に残ります。わざわざ投資家を募らなくても、それだけで会社を運営できるじゃないですか。

でも、私がその証券会社の社長ならやりません。なぜなら、利回り17%がずっと続くわけではないと思うからです。いまはたしかに17%かもしれませんが、利下げがあるかもしれません。為替変動リスクや債券価格下落リスクを考えると、むしろ17%じゃ低いと思いますよ。

それなら販売に徹して、手数料をいただいておしまい、というビジネスモデルのほうが安心だと考えます。

【パパ】その後、その人が投資したかどうかはわからないけど、たとえばトルコリラ債なんてすごいよ。2015年初頭には1トルコリラ46円前後だったけど、2018年には一時6円台まで暴落したんだ。3年で価値が7分の1になれば、どんなに高利回りでも追いつかないよね。

【ママ】ひええ、おそろしー!

営業活動の思惑を想像してみる

【パパ】営業活動も同じだよね。パパは不動産投資の仕事をしてるからわかるけど、本当に優良物件なら、既存顧客にメールを送るだけですぐに売れてしまうんだ。わざわざインターネットに掲載したり、電話をかけたりDMを送ったりってセールス活動はまったくいらない。つまりそれらは結局、「営業しなければ売れない程度の商品」であることが多いわけなんだ。

ノートパソコンで不動産サイトを閲覧中の女性
写真=iStock.com/mapo
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【ママ】なるほどね……。

【パパ】いずれにせよ、うまい儲け話があったら、まず「この人はなぜ、自分にこんなセールスをするのだろう?」「自分がその会社の社長なら、どうやるのが最も儲かるだろうか?」を想像してみることだよ。