例として、私の20個の一部を紹介しよう。仲間と外で楽しめるのがバイクだ。23年の5月に友達2人と鹿児島の甑島こしきしまにツーリングに行く。甑島は3つの島が連なっていて、3年くらい前にそれらがすべて橋でつながった。私の好きな宮古島と同じく、長い橋で海の上をバイクで走ると考えただけでわくわくしてくる。

ツーリングは食道楽を兼ねている。私のつくる旅程は細かくて、朝昼晩どこで何を食べるのかはすでに決めてある。鹿児島でうまいと評判のさつま揚げのお店も調査済みだ。

夏は海でダイビングとジェットスキー、冬は雪山でスノーモービルを満喫する。これらは基本的に仲間とやる趣味だ。

スノーモービルは例年、長野県飯山市に行く。間違えて谷底に落ちれば春になって雪解けするまで見つからないこともある危険な遊びだ。万が一のときに助けてもらえるように、必ず現地の仲間と楽しむ。

室内の趣味は音楽だ。中学までは合唱をやっていたが、変声期に声が出なくなってからはクラリネットの演奏に転向した。ピアノは1人で楽しめるが、クラリネットはアンサンブル。今も仲間と定期的に木管五重奏やピアノとのソナタ演奏などを楽しんでいる。

先に演奏会の開催を発表して友人を招待し自分を追い込むのが、私の練習法だ。昔吹いたことがある曲は、この年齢になってもわりと早く9割方の出来に持っていける。23年6月には、ひさしぶりに歌にも挑戦する。あるピアニストのコンサートを我が家で開くことになったので、サプライズで私がシューベルト「冬の旅」から4曲をドイツ語で披露する。ここで公表した以上、もう後には引けない。6月に向けて練習あるのみだ。

1年先からの予約しか取れない店なら、1年前に入れてしまえばいい

音楽の練習法からもわかるだろうが、趣味を楽しむにはすぐに計画を立てて、それにコミットすることが大切だ。たとえば、どこかの風景の写真を見てきれいだと感じたら、すぐに旅行の計画を立てる。ゴールデンウイークなら長野県阿智村の花桃が、秋なら同じく箕輪みのわ町の紅葉。おいしい料理店の噂を聞きつけたら、すぐ予約を入れる。1年先からの予約しか取れない店なら、1年前に入れてしまえばいい。「先のことはわからないから」と敬遠する人がいるが、計画しないから先がわからなくなるのだ。

計画は、自分を動かすエネルギーになる。決めてしまえば楽器の練習をするし、おいしいものを食べようと店を調べたり、体力維持に努めたりもする。

逆に「そのうちやろう」「時間ができたら」と漠然と考えていると、最初に芽生えた好奇心がしぼんできて、ますます後回しになってしまう。気づいたら定年を迎えて、体力、友達、スキルの点で手遅れになるのである。