お金持ちになりたいのなら、お金持ちを見習おう。

世界一の個人投資家と言われるのはウォーレン・バフェットだ。バフェットは、アメリカにおける伝説的な投資家であり、経営者。彼は学生時代に貯めた1万ドルを元手に、およそ45年かけてバークシャー・ハサウエイ社の株式の形で個人資産を数百万倍まで高めた人。

なぜ貯金好きはお金持ちになれないのか?
[著]北川邦弘(プレジデント社)

彼がただの大金持ちと違うのは、自分の並はずれた個人資産を形成する一方で、たくさんの大金持ちを育てたことだ。バークシャーの株主や彼の投資原理に従った何千人もの人々が、今や100万ドル以上の資産家となった。彼らは「バフェット村のスーパー投資家」と紹介される。そんなバフェットが残してきた名言の中から、次のひと言をご紹介しよう。

「郵便が3週間遅れで届くような田舎に住んでいたほうが、優れた運用成績を残せるかもしれません」

つまり、バフェットは最新のマル秘情報などからではなくて、企業の本質的な価値をありきたりの資料から発見して投資しているのだ。どこにでも公開されているような平凡な開示資料を読み解いて、割安な株価の銘柄を探し出し、長い時間をかけて成長することが確信できる企業のみに投資をする――それがバフェットのやり方である。それなのに、素人の多くは時間をかけずに手っ取り早く儲けたいと欲張りがち。そんな気持ちのままに手を染める利殖は、間違いなくギャンブルと言える。

・自分だけがドバア~ッと儲かる快感を味わいたい!

・自分だけは特別に儲かるという何かを持っていると信じたい!

・自分だけにできる何かを実現したい!

そんなふうにワケもなく自分を特別に思う気持ちが、人間には誰にもあって、それにつけ込む商人がいる。特定のノウハウや情報を伝えて、簡単に儲かると吹聴するキツネさんやタヌキさんたちだ。世の中は、まさしくギャンブルのような投機をすすめる雰囲気に満ちていて、それを「投資」と詐称して大衆を勧誘する。最後は自分の意思が決めるのだが、そんな経済行動によってお金を失う人が後を絶たない。

投資で勝ちたい、大儲けしたいと血気盛んになっている人には、バフェットのこんな言葉を贈りたい。

「辛抱強さや冷静さは、知能指数よりも重要かもしれない」

そう、バフェットは才気みなぎる金融工学の天才などではなくて、むしろ単純なことを貫こうとする愚直ともいえる信念の人なのだ。そして、どんな会社に投資したらいいかと問うたときにこう言ったのだ。

「バカでも経営できるような企業を探しなさい。いずれ、そういう人間が経営者になるのだから」

これはかなり含蓄のある言葉だ。また、バフェットは自分自身についてもこんなことを言っている。

「自分はいずれ金持ちになると信じていました。 それについては、一瞬たりとも疑ったことはありません」

成功者とは、どんな世界でもバフェットと同じように信念の人なのだ。自分を信じる、信じる、そして信じ切る。成功が実現するまであきらめない人なのだ。