日本ほど、街中に自動販売機やコンビニがあふれている国もない。

ヨーロッパでは自動販売機を見つけることがむずかしいくらい少ない。日本は設置基準がゆるいのだろうか。そして、自販機を置くだけで設置者が儲かる国なのだろうか(安全で破壊、盗難が少ない国である、という理由もあるが)。それほどに人は、気軽に自販機でいろいろな物を買う。買ってもらうと国のGDPに少々貢献し、誰かが潤うのだから、全然かまわないのだが、私は困ったときにしか自販機を使わない。

自販機は街の美観を損ねる。電気代もムダだ。しかも甘い飲料は身体に良くない。甘い缶コーヒーも肥満のもとになるだろう。しかしもっと悪いのはお金を失うことだ。

なぜ貯金好きはお金持ちになれないのか? [著]北川邦弘 (プレジデント社)

「ケチなこと言うな、たかだか100円か150円」と思われるかもしれない。しかし、その小さなことが積もり積もって大きなことになる。

私は試算してみた。毎日150円の缶コーヒーを3本飲めば1日450円、ひと月で1万3500円、1年で約16万円、30年で約492万円も使うことになる。

しかし、これだけなら驚くほどではない。

もしこのお金を自販機に入れる代わりに、投資していたらどうなっただろう? 収益率8%の投資に回せていたら、この492万円は30年間で2000万円もの大金になっていたのだ。

毎日の缶コーヒーで家が建つ――、そのくらいもったいないことをしているのだ。

なぜ、こんな話をするかと言うと、私が知っているお金持ちたちのほとんどが自販機を使わないからだ。コンビニに入ることも好きじゃない。必要なものは家からしっかり持ってくる。自分の水筒、手作りのお弁当、こだわりのスイーツなど。さすがにビールは冷えているほうが美味しいから、コンビニか自販機で買う。でもそれくらい。

何となく見ていて欲しくなったものにお金を払うことが少ないのだ。これらの行動は多くのお金持ちたちの共通点だと言える。