細分化された医療では人の「いのち」は救えない

緩和ケアでは、患者さんの身体的な症状や苦痛だけでなく、どのようなトータルペインに苦しんでおられるのかを理解し、そのこころを支え、癒やすことを目的としています。

四宮敏章『また、あちらで会いましょう』(かんき出版)
四宮敏章『また、あちらで会いましょう』(かんき出版)

近代医療は、身体とこころを別々に取り扱うだけでなく、専門化が進み、それぞれの臓器や部位に細かく枝分かれしていく傾向にあります。

それに対して、人間の存在をまるごと全体としてとらえ、身体とこころをひとつながりの関係のなかでみていくこと。その人をその人たらしめている、社会的な立場や家族の存在といった周辺状況も含めてみていくこと。

それが、本来の医療が果たすべき役割であり、医療の本質といえるのではないか。つまり、医療とは、人の「いのち」に寄り添うものである。私は、心療内科と緩和ケアの目指すところが一致していることに気づき、そのように考えるようになりました。

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