早起きは本当に必要なのだろうか。明治大学の堀田秀吾教授は「学校の始業時間を約1時間遅らせると、成績が平均4.5%向上したという報告がある。夜型人間に無理に早起きさせても、注意力が散漫になり、睡魔に襲われやすくなる」という――。(第1回)

※本稿は、堀田秀吾『「不安」があなたを強くする』(日刊現代)の一部を再編集したものです。

始業時間を遅らせると成績が平均4.5%向上

働き方が多様化し、「始業時間が遅くなった」「ランダムになった」という方は少なくないかもしれません。

午前9時の始業が午前10時に後ろ倒しされるだけで、時間の使い方は大きく変わるでしょう。

実際、後ろ倒しにするメリットが報告されています。

ワシントン大学のダンスターらは、「学校の始業時間を約1時間遅らせると、生徒の睡眠時間が30分ほど長くなり、成績の向上にもつながった」と報告しています。

早起きさせないほうが成績は上がる(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/timnewman
早起きさせないほうが成績は上がる(※写真はイメージです)

ダンスターらは、2017年にシアトルにある2つの公立高校の始業時間を2週間だけ55分遅らせて(7時50分から8時45分へ)、学生の睡眠時間にどのような変化が表れるのかを実験しました。

その結果、睡眠時間に改善が見られ、前年と比較したところ平均睡眠時間が34分長くなり、成績も平均4.5%向上したといいます。

所得の低い家庭の学生が多く在籍する高校では、遅刻の回数や出席率にも明らかに改善が見られたそうです。

これだけみれば、始業時間を遅らせた方がいいと多くの人が思うでしょう。

元々夜型の人にはあまり効果がない

英バーミンガム大学のフェイサー=チャイルズらの研究では、午前2時に寝て午前11時くらいに起きる夜型人間には「9時5時勤務は不利」と報告しています。

夜型生活の人は、その生活習慣を変えない限り、仮に1時間スライドさせても改善は見られないというのです。