実際にやっていること以上に評価してもらっている

【ひろゆき】でも実際に、そのくらいのお金でできるんなら絶対にやったほうがいいと思うんですよ。明石市で言うと、無償化の対象となる子どもの人数は何人くらいなんですか?

【泉】全体の人口が約30万人で、ざっくりとしたパーセンテージをもとに計算すると、18歳以下の子どもは大体5万4000人くらいですかね。

【ひろゆき】34億円を5万4000人で割ると、大体6万円なんですよね。年間に1人の子どもに6万円かけたくらいで「5つの無料化」ができて、子育て対策が成功して「明石市スゴイ!」って日本中から言われるのは、めちゃくちゃコスパいいと思います。

【泉】実際にやっていること以上に評価していただいていると思いますけどね。ただ予算に関しては、先ほど言った通り、抵抗は強かったですよ。

【ひろゆき】いろいろな反発があったことはお察しします(笑)。

所得制限をしないからお金がある人が引っ越してくる

【ひろゆき】ちょっと具体的に明石市の子育て政策について伺いたいんですが。さっきも名前が出ましたけど、最も有名なのが「5つの無料化」。あらためて、どんな対策なのか教えてもらっていいですか?

【泉】18歳までの医療費無料、第2子以降の保育料無料、0歳児のオムツ定期便(オムツの無料)、中学校の給食費無料、プールや博物館など公共の子ども施設の入場料無料。この5つの無料化を所得制限なしで行っています。

【ひろゆき】この所得制限なしっていうのがうまいなぁと。所得制限をしないことで、お金持ち、つまり税金をきちんと払う人たちが集まってきて、結果として税収が上がるっていう好循環が生まれるのかなと思います。このあたりって、実現するのは難しくなかったですか? だって、「金持ちにお金渡す必要ないじゃん」っていう考えの人もいるじゃないですか。

【泉】そこは難しいかどうかっていうより、仮に所得制限をかけた場合、安いお金で済むけど、効果がほとんど出ないんですよ。所得制限なしにすれば、お金はかかるけど、かえって税収が増える。明石は「5つの無料化」を実施することで、どんどん人が増えていって、10年連続人口増なんです。で、所得制限かけてないから、入ってくる人はほとんどダブルインカムの納税者でしょ。

お金を落とすから地域の経済が回り始めて、2021年には、明石駅前の商店街が過去最高益を叩き出しましたからね。経済が回り出して、税収もどんどん増えているので、やればやるほど財源が貯まってく。まさに好循環です。所得制限かけちゃったら、納税者が入ってこないし、地域でお金落としてくれるわけでもない。そういう効果を考えても、所得制限はかけないほうがいいんですよ。