やる気と学力のある学生は無償に

そもそも大学などの高等教育は、勉強をする気がある人が行くところです。国がお金をかけて優秀な人を増やすための場なので、一定の点数を取れない人を国が支援する必要はありません。高得点は取れないけど大学に行きたい人は自腹で行けばいいですからね。

高等教育で勉強する気がない人の学費を補助しても仕方がないので、僕は「大学に行って勉強がしたくて、共通テストなどで一定の点数をクリアした人の学費を、クーポン制などにして国が代わりに払う」という仕組みがいいと考えています。

勉強しない子がトクをしてしまわないよう、クーポンをもらえるための基準はあったほうがいいでしょう。たとえば、共通テストの点数が上位30%の学生の学費は国が支払う仕組みにして、一定以上の学力がある学生を支援する。

共通テストは、言われたことをちゃんと学習できる能力があって努力できれば、ある程度、点数は取れます。ポテンシャルはそれほど必要ないので、やる気と学力は基本的に比例すると思います。

大学無償化は、あくまでちゃんと大学に通って勉強をしたのに数百万円の借金を負ってしまっている人たちを何とかするのが目的ですからね。

厳しい言い方かもしれませんが、やる気があっても基準をクリアできなければ、クーポンはもらえないようにします。

たとえば、英語をいっさい話せも読めもしない人が、海外の論文を読み解く授業を受けても、ついていけないですよね。「英語の勉強をしたけど共通テストで10点も取れません」という人は、大学に行っても英語の授業がわかりません。

行きたいという気持ちはわかるんですが、最低限のことができないのであれば、おそらく大学には向いていないのだと思います。あくまで、高等教育を受けられるだけの理解力があることは前提にしたほうがいいでしょう。

日本の大学の数は減らしたほうがいい

日本では若い人の人口はどんどん減っていますが、大学の数はこの50年間で倍増していて、大学進学率も上がっています。教育の名のもとにお金を集めているんだけれど、なかには教育なんかほとんどせずに、単なる補助金ビジネスになっている大学もあって、潰れずに生き残っていますからね。

だから僕は、日本の大学の数は減らした方がいいと考えています。

なので、ある程度勉強した生徒が行きたいと思う大学に関して授業料を補助するかたちにしたら、通っても学力向上にも就職にも役に立たないレジャー大学は潰れていくことになると思います。

ただし、これは社会全体の話なので、個人レベルでは別です。

たとえば、もし高校生に「Fランク大学には行ってもムダですか?」と聞かれたら、僕は「どんなランクでもいいから大学には行ったほうがいい」と答えます。

就職するときにも大卒と高卒では条件が違いますし、勉強して高度な知識やスキルを得た人のほうが収入は増えます。あと、海外では労働ビザを取るときに大卒じゃないとデスクワークのビザが下りなかったりします。「大学を出ていないってことは肉体労働者だね」とデスクワークの能力がないと判断されてしまうので、どんなFランでも大学には行っておいたほうがいいでしょう。

個人と社会全体の話は分けて考えないといけません。国としては税金が無限に使えるわけではないので、ダメな大学は減らしていかないと、大学の質は上がらないという話です。