何も行動しないことは退化を意味する

まず試しにやってみて、良ければ続けて、悪ければ修正するかあきらめる。このシンプルなルールで試行と検証の行動実験を繰り返します。

この行動実験は、成功を目指すのではなく、実験すること自体を目的とし、必ずチェックポイントを設けて修正点を見出します。修正すべき点がわかれば、次の行動に活かすことができ、成功に近づいていきます。

越川慎司『29歳の教科書』(プレジデント社)
越川慎司『29歳の教科書』(プレジデント社)

漫然と散歩していたら富士山の頂上にたどり着くことはありません。登頂の途中で自分の位置を確認し、間違ったルートであれば引き返し、正しいルートであればそのまま進むことが必要です。

そして、チェックポイントを設けたときに、必ず「だめだったらやめる」という選択肢を設けることが大切です。「やめる」という選択肢が事前に用意されていれば、気軽に挑戦しやすくなります。

変化が激しく不確実な時代においては、何も行動しないことは退化を意味します。周りが進化して自分が取り残されれば相対的な退化です。ですから行動量が重要です。

動く→気づく→変わる、「セルフDCA」をより多く回すことがこれからの成功のコツ
画像=筆者提供
動く→気づく→変わる、「セルフDCA」をより多く回すことがこれからの成功のコツ

できる限りPを小さくしてDCAを自ら回していきましょう。このような「セルフDCA」のサイクルより多く回していくことで、進化が加速します。

「不安」はチャンス

総論としてはわかる。しかし、現実的に考えると、そんな観念論ではどうしたらいいかがわからない──そんな声も聞こえてきそうです。もう少し身近で、具体的な話に落とし込んで考えてみましょう。

いわゆる「働き方改革」が進んだ結果として、「残業するな、でも成果は出せ!」と上司に言われるようになり、自宅やカフェで「隠れ残業」が蔓延するようになりました。

少子高齢化で人手不足が続き、コロナ対策で行動が抑制されるなかで、成果を求められています。

このような厳しい環境でも、残業をせずに、成果を出し続けている社員が各社にいます。これが「トップ5%社員」です。5%社員にヒアリングを行ったところ、「20代は不安だった」「不安を感じるのはむしろチャンス」と発言する人が多かったのです。