「すばらしいですね!」と日本語で歓喜

カタールで行われているサッカー・ワールドカップ(W杯)で日本代表は、グループリーグで優勝経験を持つドイツとスペインを撃破。史上初のベスト8まであと少しというところで前回大会準優勝のクロアチアにPK戦の末、敗戦という残念な結果に終わった。ただ、今回の快進撃は、欧州のサッカー界に「サムライジャパンの功績」を強く印象づけた。英国に10年以上居住し、日々「サッカーと共に」暮らす筆者が現地の反応を拾った。

「SUBARASHIIDESUNE(すばらしいですね)!」

W杯決勝トーナメント1回戦・日本-クロアチア。前半、先制ゴールを決め喜ぶ前田大然(中央)=2022年12月5日、カタール・アルワクラ
写真=時事通信フォト
W杯決勝トーナメント1回戦・日本-クロアチア。前半、先制ゴールを決め喜ぶ前田大然(中央)=2022年12月5日、カタール・アルワクラ

英国サッカー界で最も有名なテレビパーソナリティとして知られるゲーリー・リネカー氏が、クロアチア相手に日本が先制点を取った直後に思わず発した言葉だ。英国の公共放送BBCで、こうした格好で日本語が聞こえてくること自体、レア中のレアな事態だ。サッカー解説の第一人者が思わず日本語で褒めてしまうほど、今回のサムライジャパン(これも英国メディアがそのまま表記するようになった)の快進撃はお見事なものだったといえよう。

リネカー氏はJリーグ初年度の1992年、日本サッカーを盛り上げるために名古屋グランパスに移籍してそのまま日本で現役生活を終えており、日本との関係は深い。だが、けが続きで活躍するまでには及ばず、思い出したくない過去なのか、日本への言及は長らく封印していた。そのリネカー氏が、日本がゴールを決めたタイミングで思わず日本語を発したのは、筆者にとって衝撃的だった。

吉田選手もドイツ所属ではなく「元プレミア選手」

サッカーにおいては英国が絶対、イングランドが絶対、という人々の間では、日本の存在などつい最近まで「極東の地味なチーム」くらいにしか思われていなかったきらいがある。

日韓共催で行われた2002年大会があったことから、英国では「あの大会がきっかけで、日本は選手強化やサッカー競技場のインフラ整備が進んだから今の快挙がある」と褒められはするものの、依然として新参者扱いされてきたといわざるを得ない。英国のサッカー専門紙は日本の戦績を紹介したうえで、「日本代表がどれだけ進歩したのか、いまだに明確な答えは出ていない」と厳しく評価する。