「偏向報道はやめろ!」TV局に組織ぐるみで電話攻撃

1990年代前半に合同結婚式や霊感商法などに関する報道が相次ぎました。当時、教団内で活動していた筆者は、上司にあたる人物から教団批判をするテレビ番組(筑紫哲也さんがキャスター)を放送する局に「抗議電話をしろ!」と命じられました。「こんな偏向報道はやめろ!」などと執拗しつように電話をかけ続け、組織ぐるみで攻撃をしかけました。

このように、旧統一教会は相手をサタンの側と見て敵対視すると、組織的な攻撃をしかけてきます。

安倍元首相が凶弾に倒れる前から、教団を裁判で訴えるなどの行動をしてきた筆者は、攻撃される側に立ってきましたが、今、彼らは「サタン側の人間で駆逐されなければならないもの」として、ネットなどを通じて、徹底した攻撃を仕掛け精神的なダメージを与えようとしてきます。信者らはそうした人の心を踏みにじる行為を「神の愛」の実践と正当化するのです。

先日も、私のところにその種のものがやってきました。12月1日にプレジデントオンラインに掲載した記事(「旧統一教会元信者が告白『7日間断食と140万円献金』合同結婚式参加のための信じられないノルマ睡眠3、4時間で連日勧誘活動」)をSNSで紹介すると、次のような趣旨の書き込みがなされました。

「あんたも加担したんだ。一番むかつく」

「(旧統一教会の)組織の問題をあえて置いておいて言うけど、(筆者は)自分の意思で入信したんだから、自己責任だろ。クソ体験もこの人が選択した結果。マインドコントロールされたなんて言ってるけど、あんたも一時は加担したんだ。あんたみたいなのが一番むかつく」

最初は教団と関係のない一般の方の書き込みだと思いましたが、調べると、この人物をフォローしている人は、ほぼすべて旧統一教会関係者であることが判明しました。こうした一般人を装ったステルス信者による書き込みは彼らの常とう手段です。

彼らは組織的な攻撃を得意にしています。今回の書き込みにあった「あんたも一時は加担してた」の一文。これは先に私が裁判で散々浴びた言葉とほぼ同じです。つまり、しっかり組織内で指示された状況で書き込むので、文言も似通ったものになるのです。

裁判所の看板
写真=iStock.com/y-studio
※写真はイメージです

なぜ、一般人を装うのか。堂々と信者を名乗って、批判すればいいのですが、明確に教団関係者とわかる人物が「クソ体験」「ムカつく」といった書き込みをすれば、多くの人から批判を受けることは免れず、自分の首を絞めかねません。こうした言葉を垂れ流せば、コンプライアンス宣言を徹底していると自負する教団の言動が偽りであることを、自ら示してしまう。そこで一般人のふりをしての書き込みをしたと考えています。