理系女子の増加

結婚するかどうかにかかわらず一生働き続ける道

中学受験の女子御三家といえば、桜蔭、女子学院、雙葉。それぞれ校風や教育方針に特色があるが、どこに入っても親としては万々歳――。だが最近、そんな図式に少し変化があるようだ。

少し前までは、偏差値順のランキングの中で、成績が届く限りの上位校に行くというのが常識。だが「最近、女子の間では、どういうルートを経由して有力大学に進むかにバリエーションが出てきています」と、東京・吉祥寺の進学塾VAMOSの塾長、富永雄輔氏は言う。そのひとつのキーワードが「理系女子」だ。

世界的な不況で個人所得が伸び悩む中、女子やその親の間には「これからの時代は、結婚するしないにかかわらず、女子も一生働くことが大前提」という考え方が広まってきている。その結果、女子の高学歴志向はますます進展中だ。

「高学歴化の方向性は、大きく分けて2つあります。ひとつは昔からある、語学に強い女子の特性を生かした文系高学歴パターン。もうひとつは、医師や薬剤師などの理系専門職をめざす理系高学歴パターンです。そして後者の道をめざす女子は、文系色の強い上位のブランド女子校より、理数系の教育に特色のある共学校を、必ずしも偏差値序列にこだわらずに選ぶようになっているんです」(富永氏)

その例のひとつが、千葉県にある東邦大学付属東邦中学校高等学校だ。戦前の帝国女子医学専門学校にルーツを持つ同校は、伝統的に理系色の強い共学校。女子生徒もその7割は理系志望だという。