日本の解雇規制は世界的に見ると実は“緩い”

日本の解雇規制は厳しいとよく言われるが、実は諸外国に比べると“緩い”という調査もある。

国際統計サイトの「グローバルノート」がOECDの調査を基にした2019年の「世界の解雇規制の強さ(正規雇用)の国別ランキング」を発表している。正規雇用23項目の要素について解雇規制の強さを0~6点で評価し、ウエート付けして指標化したものだ(数値が大きいほど、解雇規制が強い=雇用が保護されている)。

それによると日本は42カ国中28位(2.08)である。焦点のアメリカは40位(1.31)と、さすがに解雇規制は緩い。トップ3はチェコ(3.03)、トルコ(2.95)、オランダ(2.88)であり、以下、ポルトガル、イタリア、イスラエル、ベルギー、フランス、アルゼンチン、スウェーデン、ギリシャ、ルクセンブルク、フィンランドなど、ヨーロッパのEU加盟国が上位にランクしている。お隣の韓国は19位(2.35)であり日本よりも解雇規制が厳しい。全体の平均点は2.27であり、平均以下の日本は諸外国に比べて解雇規制が緩い。

解雇された女性がデスクを片付けている
写真=iStock.com/pcess609
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ヨーロッパでは解雇無効の場合でも、金銭で解雇可能に

例えば21位のドイツには「解雇制限法」がある。解雇するには「社会的に正当なものである」という「社会的正当性が必要だ(1条1項)。社会的正当性を満たすには①労働者の一身上事由、②労働者の行動上の事由、③経営上の必要性――の要件が求められ、要件を満たさない正当性なき解雇は無効となる。前述した日本の労働契約法16条に近い。

ただ、ドイツなどのヨーロッパ諸国と日本の違いは、解雇無効の判決が出た場合、金銭で解雇が可能になる「解雇の金銭解決制度」が法制化されている点だ。実は日本でも、労働者側の申し立てに限定し、裁判所が「解雇は無効」と判断した後、職場復帰を望まない場合に、金銭解決によって労働契約を終了させる制度について厚生労働省の審議会で検討されている。

具体的には労働者の請求によって使用者が「労働契約解消金」を支払い、その支払いによって労働契約が終了する。解消金の範囲については上限と下限を設けることが提起されているが、使用者側委員と制度創設に反対する労働者側委員の対立が激しく、現時点ではいくらになるのかという議論まで進んでいない。

実は現状の解雇紛争解決の手段としては、労働局のあっせん、労働審判、民事訴訟があるが、解決金による和解が多く、金銭が支払われている実態もある。