日本人が知らない「日米レモン戦争」

これと同様のことが、過去にも行われたことがある。

いわゆる「日米レモン戦争」である。

1970年代、アメリカから輸入していたレモンなどの柑橘かんきつ類から、オルトフェニルフェノールとかチアベンダゾールといった防カビ剤が検出された。

レモンの皮をピーラーで削る様子
写真=iStock.com/4kodiak
アメリカから輸入していた柑橘類から防カビ剤が検出された(※写真はイメージです)

これらは、膀胱ぼうこうがんや腎障害の原因になるとして、日本では禁止されていた。そのため、これが検出されたアメリカ産レモンを海洋投棄し、アメリカに対して使用禁止を求めたのだ。

だがアメリカはこれに激怒し、日本からの自動車輸入を制限すると脅した。

日本政府はあわててレモンへの防カビ剤は食品添加物であるとして、輸入を認めることにしたのである。

「農薬として使用が禁止されている薬物が、収穫後に使用すれば食品添加物であるため使用できる」というのは、あまりにウルトラCであり、苦しい言い訳に過ぎない。

ジャガイモへの防カビ剤を食品添加物に指定したのは、これと同じことに過ぎない。