朝食はなにを食べればいいのか。血糖値の専門家であるジェシー・インチャウスペ氏は「シリアルやスムージーは大きい血糖値スパイクを引き起こす。血糖値曲線を平坦にする最善の方法は、甘くなくてもおいしい、体がよろこぶ朝食をとることだ」という――。

※本稿は、ジェシー・インチャウスペ『人生が変わる 血糖値コントロール大全』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

朝食のシリアル
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ボウル1杯のシリアルが起こす「糖尿病並み」の血糖値スパイク

スタンフォード大学には、持続血糖計測の研究を専門とする科学者たちがいる。2018年、彼らは糖尿病でなければ血糖値を気にしなくてよいという、一般的な考え方が正しいかどうか確かめはじめた。その次に、シリアルの朝食は体にいいというのは本当かどうかについて、調べることにした。

男女30人の被験者が採用された。だれも2型糖尿病と診断されたことがなく、空腹時血糖値は正常範囲だった(主治医による年1回の検査値)。平日の朝に研究室へやってきて、実験に参加した。持続血糖測定器を身につけて、ボウル1杯のシリアルを牛乳と一緒に食べるという実験である。

研究の結果は驚くべきものだった。健康な人たちなのに、ボウル1杯のシリアルで、糖尿病患者に特有だと思われていた調節異常の範囲にまで、血糖値が上がったのだ。30人のうち16人が、140mg/dL〔グルコース(ブドウ糖)調節に問題があることを示し、前糖尿病の指標となる値〕を超える血糖値スパイク(血糖値の急上昇)を起こし、なかには200mg/dL(2型糖尿病の範囲)まで上がった人もいた。

これは、被験者たちが糖尿病だということではない。彼らは糖尿病ではなかった。ただ、健康な人でも糖尿病と同じぐらい血糖値が急上昇することがあり、血糖値スパイクによる有害な副作用を被るということだ。これはめざましい発見だった。