体調不良の妻を相手にセックスをしようとする行為自体はもちろんのこと、それ以上に、「ちょっと体だけ貸して」という意識が妻を大きく傷つけてしまった。にもかかわらず、夫には自覚がまったくない。

ここに根深い問題があると僕は考えています。

こんなに違う「セックスに対するモチベーション」

なぜ、妻であるこの女性が深く傷ついたのか?

多くの方は察しがつくとは思いますが、答え合わせとして、男女それぞれのセックスに対するモチベーションが分かる次のデータを見てみましょう。

一般社団法人日本家族計画が行った調査「ジャパン・セックスサーベイ2020」によると、「あなたがセックスをする目的はなんですか?」という質問に対し、男性の回答のトップは「性的な快楽のため」でしたが、女性の回答は「愛情を表現するため」「ふれあい(コミュニケーション)のため」が目立ちました。

男女平等のコンセプト
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つまり、男性のセックスのモチベーションが多くの場合で「性欲の解消」にあるのに対して、女性は「愛情」が動機になっています。そのため、女性が自分に対して愛情を示さない相手からのセックスの誘いに応じられないのは、無理もないことなのです。

女性は心が閉じ、体も閉じる

先ほどの妻からすれば、弱っている自分にかまうことなく挿入をしてくる行為は、妻にとって「愛情の表現」から程遠いものでした。そのために、心がまずは閉じ、それに伴って体も閉じてしまいました。

しかし、夫が自らの性欲を後回しにて弱っている自分をいたわり、大切に扱ってくれたとしたら、どうでしょう。妻は回復した後で、「愛情の表現」としてのセックスを喜んで受け入れたことでしょう。

この夫婦のケースは極端な例かもしれません。

しかし、それ以外の夫婦のケースでも、「日ごろは『太ったな』とか『老けてきた』とか言うくせに、セックスだけは求めてくる」「行為が終わるとすぐに背中を向けて寝る」「自分が満足したら、こちらのことはおかまいなしに終わりにする」などといった話を女性の側からはよく聞かされます。

そして、そのどれもが、女性が「愛情の表現」をしたいと思えなくなる原因となっています。