弁当のおかずの定番、ミートボールを製造・販売する石井食品が快進撃を見せている。コロナ禍で休校やオンライン授業が増えても、ミートボールの売り上げは右肩上がりだという。発売から48年間売れ続けている理由はどこにあるのか。ノンフィクション作家の野地秩嘉さんが聞いた――。
石井食品が製造・販売する「イシイのおべんとクン ミートボール」
撮影=プレジデントオンライン編集部
石井食品が製造・販売する「イシイのおべんとクン ミートボール」

「ずっとサイズを変えておりません」

「イシイのおべんとクン ミートボール」で知られるのが石井食品だ。本社は千葉県船橋市にある。同社の売り上げは2021年3月期で91億9234万円。従業員は358人、東証のスタンダード市場に上場している。売り上げのうち、「ミートボール」が占める割合は過半を超えて7割。全国の子どもたち、学生から、大人まで、あらゆる層のお弁当に入っている鶏肉のミートボールが同社従業員の生活を支えている。

ある時、おべんとクンを久しぶりに買ったと思われる客がツイッターで「おべんとクン、だいぶ小さくなっているよね?」という投稿をしたことがあった。石井食品のアカウントを担当している顧客体験デザイン部の広報・池田明子はほほ笑みながら、次のように返事を送った。

「じ、実は……イシイのミートボールはずっとサイズを変えておりません よくこのようなお声を頂くのですが、みなさんが大人になった証拠なのかな、と思って笑顔でツイートを拝見しております笑 みなさんの子どもの頃の記憶に結びついているのは嬉しいです……!」

名解答だ。懐かしくなって、おべんとクンを食べる大人にとっては小さく感じられるのは当たり前のことだ。

こうして、おべんとクンは子どもだけのものではなく、懐かしくなって食べたいと思う大人も手に取る食品になっているのである。

休校になっても売れ続けている意外な理由

それもあっておべんとクンの売り上げは近年、右肩上がりだ。コロナ禍で在宅勤務、オンライン授業が増え、働く人たちや学生、子どもたちのなかには自宅で昼食を食べる機会が増えたと思われる。それでも、なお、おべんとクンの需要は伸びている。

同社執行役員で営業の統括マネージャーをしている伊藤幸一郎は次のように教えてくれた。

第1営業グループ統括マネージャーの伊藤幸一郎氏
撮影=プレジデントオンライン編集部
第1営業グループ統括マネージャーの伊藤幸一郎氏

「現在、ほとんどの小学校、中学校は給食です。保育園は給食、幼稚園もまた過半数は給食になっています。そして、子どもの数が減っているから、おべんとクンの売れ行きは鈍ったのではないかと思う方が多いかもしれません。

しかし、実は別のお弁当需要が生まれているのです。全国で中学受験をする子どもが増えて、塾へ通う小学生が多くなりました。親が塾で食べる夕食のお弁当を持たせるようになったんです」