日本はなぜ「連帯責任」を容認するのか

同志社大学アメリカンフットボール部の男子部員4人が、準強制性交の疑いで京都府警に逮捕された。同部は事件発覚後、無期限の活動停止と関西学生リーグ1部の出場辞退を発表した。日本における運動部活動では、部員による事件が発覚した際には、当該部活動が自主的に活動を休止する場合もあれば、学校から活動を停止させられる場合もある。さらには、加入しているスポーツ団体から、対外試合禁止処分を受けることもある。

アメリカンフットボールの選手が試合形式の練習中
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本事件の重大さを鑑みれば、無期限の活動停止は避けられない処分であるという見解は多い。本稿では、部員による不祥事が生じた際の運動部活動における連帯責任の在り方について論じたい。

連帯責任の是非についてメディアで取り上げられる機会が多いのは、高校野球である。現在も部員による不祥事が発覚した際には、連帯責任が課される。日本学生野球協会は今月、下級生への暴力などのいじめがあった金足農業高校(秋田)に、3カ月の対外試合禁止の処分を下した。

また、部員による喫煙が発覚した酒田南高校(山形)に、1カ月の対外試合禁止処分を下した。一方で、近年の高校野球では、複数部員による組織的な関与が認められない場合、原則として処分は当事者にとどめられ、チームの責任は問われない方向にシフトしている。

連帯責任を問えるための3つの条件

連帯責任に関する研究は海外でも行われている。連帯責任、すなわち “collective responsibility”の是非に関して、少なくない研究成果が存在する。中でも、政治哲学領域におけるJuha Räikkä(テュルク大学/フィンランド)やDavid Miller(英オックスフォード大学)の研究は、示唆に富んでいる。

両者を参考にすると、連帯責任が問われるのは、以下の3つの条件が満たされているにもかかわらず、当該行為に対して反対の行動をとらない場合だとされる。

①深刻なリスクなしに、反対する機会を持っている。
②容易に入手できる知識によって、反対する機会を持っている。
③反対することが完全に無益なものでなく、何らかの貢献できる見込みがある。

順を追って説明していこう。