「大学のまち」であるがゆえの苦悩

この社会減の大きな要因は、「大学の街・京都」という京都市のもう1つの顔に起因する。

京都市は京都大学を筆頭に、同志社大学、立命館大学、龍谷大学、京都産業大学など、なんと38もの大学を抱え、人口の約1割を大学生が占めている。人口当たり大学数日本一という側面を持っているのだ。

コロナ禍によって授業のオンライン化が進み、2020年は大学の休講が急増した。その結果、通常の年なら市内に引っ越ししてくるはずの新入生が来なかった。

2021年になり、休講はなくなったものの、オンライン授業でキャンパスへ行く回数が減り、これまで近畿一円からやってきていた下宿生は実家から通うケースが増え、転出増・転入減となった。

京都駅構内を移動する人々
写真=iStock.com/Ababsolutum
※写真はイメージです

留学生が大幅に減った

加えて、国が入国制限を進めた結果、外国人留学生が大幅に減少した。

とくに近年は少子化の影響で、大学の定員を埋めるために留学生に頼ってきた面が強く、学校によっては生徒の半数近くが外国人というような大学も存在する。

国も留学生の受け入れには積極的な姿勢を打ち出し、留学生数は増加し続けてきた。それがコロナ禍で大打撃を受けた格好だ。

一方、これは京都に限った話ではなく、全国的にいえることでもあるが、建築、製造業で採用してきた外国人技能実習生の数が下振れしていることも影響している。

ただし、これらは100%とはいわないまでも、コロナ禍ならではの現象だという背景を鑑みると、やがてはおおむね戻ることが予想されるので、それほど深刻に考える必要はなさそうだ。