昆虫葬のプランへの申込件数は当初の12倍に急成長

昆虫の弔いはその最たるもの。こうした、特殊なペット葬のニーズの高まりを受け、専門の葬儀社も出現してきている。

そのひとつ、「愛ペットセレモニー尼崎」(兵庫県尼崎市)は、2019年から昆虫葬のプランを始めた。初年は申込が10件ほどであったが、翌2020年は40件に増加。さらに2021年はおよそ100件、今年は既に120件ほどと需要が高まっている。

愛ペットセレモニー尼崎の昆虫葬の様子
写真提供=アビーコム
愛ペットセレモニー尼崎の昆虫葬の様子

増加の理由は複数ある。近年、マンション住まいが増えたことは最大の要因だ。つまり、小動物を埋葬する場所(自宅の庭など)がない。かつては、公園の片隅に埋めることも少なくなかったが、今では人目が憚られ、だからといってゴミに出すことには抵抗があるのだ。

欧米人の場合、小動物のペットが死んだ場合は合理性を優先し、躊躇なくゴミに出すことが多い。しかし、日本人の死生観は独特だ。誰しも、幼い頃、小動物の死に際して「墓」をつくり、手を合わせてきたではないか。仮にカブトムシやバッタなどの昆虫といえども、その死を無下にできないのが、われわれ日本人なのだ。

コロナ禍で在宅時間が増えた影響で、小動物や観賞魚を飼育する人が増えているという報告もある。昆虫葬は今後、ますます需要を伸ばしそうな勢いだ。

さて、同社では昆虫の遺骸を、持ち込みと郵送の両方で受け付けている。郵送の場合はまず、アマゾンやYahoo!ショッピングで「昆虫葬 郵送キットワイド」を購入する。キットには返送用の箱や防虫剤、乾燥剤、クッション剤などが入っている。

昆虫の遺骸を納めてポストに投函とうかんすると、同社の花壇に据え付けられた「昆虫天国」と呼ばれる昆虫専用の合祀ごうし墓に納められる。

月に一度、僧侶を招いて「昆虫の墓」の前で供養する
写真提供=アビーコム
月に一度、僧侶を招いて「昆虫の墓」の前で供養する