PVの再生数を上げるために一晩中無音でストリーミング

ソウル市龍山区に住むミン・ジュンヒ(19歳)は17年にARMYに加入し、3年間活動した。

「16年に1年間、米国で英語研修を受けて帰国しましたが、韓国に帰ってからは事情があって、中学2年生から3年生にかけての1年ほど、学校を休んでいました。その時、弟がYouTubeでBTSのPVを見ているのを偶然目にして以来、ハマってしまいました。それからファンクラブがあることを知って加入したんです。会費の3万5000ウォンを払うと、キットとカードが家に届けられた。ファンクラブは1年ごとに更新しなければならないのですが、コンサートチケットの前売りやARMYのための公式グッズが購入できるのが一番の特典です。(現在、コンサートはARMYだけが予約できるようになっている)」

彼女は同世代の若者たちと同じように、一日中、BTSの応援にのめり込んだという。その方法も現代ならではである。

「当時は学校に行っていなかったため、目が覚めて寝るまで、ずっと関連情報を探し回っていました。ファンがYouTubeにアップロードする動画を視聴してみたり、ARMYのファンカフェに寄ってお知らせを確認したり……。新曲が発売されれば、ツイッターの『総攻』(チョンゴン=新曲の順位を上げるため、ファンらが総攻勢をかけること)アカウントで教えてもらった通り、援護射撃をするんです。PVの再生数を上げるためにストリーミング再生を繰り返す『ミュス』や、無音でストリーミング再生を続ける『無音スミング』などをしながら、夜通しARMYたちとリアルタイムでチャットをしていたこともあります」

ラップトップを使用するヘッドホンをつけた女性
写真=iStock.com/Raul_Mellado
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「BTSのために、できるすべてのことをしたい」

「ARMYたちは、特定の個人メンバーを応援するのではなくメンバー全員を応援する『オールファン』が基本。他のアイドルファンのように特定メンバーだけを応援し、他のメンバーを中傷する『悪個(アクゲ=悪質な個人ファンのこと)』がいないので、ファン同士のトラブルもなく、まるで家族のような雰囲気です」

「ARMYの総攻でBTSが1位になったときには、私自身が賞をもらったかのように嬉しかったです。米国から帰国直後に友達もなく一人で過ごした私にとって、BTSは友達であり、優しく教え導いてくれる先輩でもありました。私を慰め、癒してくれたBTSを応援したいという気持ちが強かったので、できるすべてのことをしたいと思いました」