山崎浩子の「合同結婚式」で各社は大騒ぎ

しかし、こうした報道にもかかわらず、統一教会に入信する若者は後を絶たなかった。脱会させようとする肉親たちの必死の説得にも耳を貸さず、カネや金品を持ち出したりするケースが多発し深刻な社会問題となっていった。

そんな中、新体操の女王でタレントとしても人気のあった山崎浩子が統一教会に入信して、韓国ソウルで開催される「合同結婚式」にも参加すると、週刊文春(1992年7月2日号)が報じたのである。

当時、私はフライデー編集長だったが、週刊文春の発売前から、スポーツ紙やワイドショーが大騒ぎしていたことを覚えている。

合同結婚式というのは、見ず知らずの男女を文鮮明が選び、スタジアムで見合い・結婚させるものだが、1988年には6500組が結婚したといわれている。

山崎は当時32歳。3カ月前に母親を亡くしていた。彼女は週刊文春のインタビューに応じてこう語っている。

「合同結婚式で結婚すると聞いたらショックでしょうね。私もかつてはそうでしたし、ついこの間まで、祝福を希望することはないと考えていましたから。

(タレント活動の=筆者注)マイナスになることは覚悟しています。三年かかって考えたことを一口に説明することはできませんが、信じているからこうしていると言うしかありません。こうしていられるのも神様のおかげだと思っています。

あなたは神様を信じないのですか。統一教会の原理を勉強して下されば、せめて四十日勉強すれば、理解していただけると思うのですが」

直後には歌手の桜田淳子も…

その直後、さらなる激震が走ることになる。山口百恵、森昌子と一緒に「花の中3トリオ」といわれ、アイドルとしての地位を確立していた桜田淳子も入信していたことが明らかになったのである。

しかも合同結婚式にも参加するということを、会見を開いて自ら語った。彼女の姉が熱心な信者だったため、感化されて入信したという。

週刊文春(1992年7月9日号)によれば、彼女は「霊感商法」にも関わっていたようだ。後に彼女が所属していたサンミュージックの相澤秀禎社長は週刊文春に対して、桜田から壺を200万円で売りつけられたと語っている。

だが、桜田は会見で、霊感商法について記者からの質問に、「霊感商法は詐欺だと考えていません」といい切ったのである。

統一教会の反社会性に対する批判が大きくなることを恐れた教会側は、合同結婚式に話題を変えさせようと大々的なマスコミの情報操作に乗り出した。教会を批判するメディアには結婚式の取材をさせない、協力的なメディアには情報を与えるというものだった。

多くのメディアは教会側が小出しにする山崎や桜田の結婚相手の情報欲しさに、教会の暗部をえぐろうと考えるメディアはごく少数になっていった。