「お局様」のような人はどうして生まれてしまうのか。産業カウンセラーの川村佳子さんは「男性優位の社会で、女性性に傷ついている人たちがいる。彼女らは幸せそうな女性を見るとめらめらと嫉妬心が湧き上がってしまう」という――。(第2回)

※本稿は、川村佳子『「女子ボス」のトリセツ』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

同僚の机の上にコーヒーを注ぐ女性と驚く同僚
写真=iStock.com/PeopleImages
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「女子ボス」は「お局様」要素を兼ね備えている

女子ボスは、私こそがこの組織やグループの「お手本」「中核」であると思っていますので、自分が一番でいなければ気が済みません。自分が周囲から認められていないと思うと、感情の起伏が激しくなります。

「おつぼねさま」とは昔からよく言ったもので、職場を仕切る古株の女性を意味し、特に「意地悪」などの特徴を持つ人のことを言います。

女子ボスは、この「お局様」要素を十分に兼ね備えており、自分が誰よりもこの組織やグループ、みんなのことをわかっている「自分こそが職場のすべてをわかっている人物」と思っています。

ですから、自分が「存在としての重要性」で認められ、常に一番でいないと、とても傷つくのです。

他の女性よりも劣位にならないように必死で頑張り、上から目線の「お局病」とでも呼ぶべき態度を取っているでしょう。

プライベートを詮索し、大きな音を立てて威圧する

存在としての重要性、認められないと傷つく女子ボスですが、周囲に対して攻撃的で、威圧的な態度を取ります。

それは、「私が一番なのだから!」といったメッセージであり、「私こそが正しい」と本気で思っていますので、それに反発してくるものすべてを「敵」と見なし、攻撃的になります。

また、本当は中身が空っぽで、自信がないことを周囲に知られることを何よりも怖れていますので、その防衛策として、初対面から威圧的な態度を取ってくることもあります。

例えば、初日から挨拶の無視、または、「この組織になじむまでは時間がかかる」などと言って相手を不安にさせ、“私の言うことに従っておくことが賢明だ”という空気や、先輩風をガンガン吹かせてきます。

女子ボスは、自分の優位性を感じることが何よりも重要なので、年齢や学歴、結婚の有無など、初対面からプライベートなことに立ち入って確認してくることがあります。

また、常に自分が「存在としての重要性」を周囲から認められたい気持ちがありますので、それを示すためにわざと大きな声、大きな足音、またはロッカーやドアを大きな音で閉めるなど、「音」で存在感を示してくることもあります。

「音」は、自分の意志では止められないため、不快感やストレスを受けやすいものです。大きな「音」を聞かされたほうは、心理的な安全を脅かされ、どんどん委縮してしまいます。

こういった威圧的な行動は、嫌がらせに分類されます。女子ボスの、長年にわたり沁みついた無意識的行動と言えるでしょう。