2020年の男性育休取得率は12.65%

さらに、2020年の男性の育児休業取得率は12.65%でした(※1)。1996年には0.12%だったので(※2)、10倍も増加してはいますが、女性の育休取得率は81.6%なので、まだまだ開きは大きいのです。しかも、男性の育休は最多が8週間以内、女性は1年までが最多で、期間にも大きな違いがありますね(※3)

※1 厚生労働省「令和2年度雇用均等基本調査」(2021年7月30日)
※2 厚生労働省「男性の育児休業取得促進等に関する参考資料集」(2020年12月14日)
※3 三菱UFJリサーチ&コンサルティング「平成30年度仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」(2019年2月)

ちなみに1996年の女性の育休取得率は49.1%で(※2)、2020年は81.6%なのですが、これは「昔の女性は子供が生まれてからも産前のような働き方を続けていた」ということではまったくなく、退職して産後は復職しなかったということですね。いまだに子供が生まれてから働き方を大きく変えるのは、女性が多いでしょう。

解雇された女性が段ボールに荷物を詰めている
写真=iStock.com/hxyume
※写真はイメージです

「現実的には取りづらい」男性育休をめぐる風潮

このように育休でさえ男女差があるのは、父親が悪いというわけではありません。「子育ては面倒だから誰かがやってくれるなら押し付けたい」と思っている人は、実際にはとても少ないでしょう。それよりも「家族が増える」という人生の貴重な機会を見逃したくない、子供の劇的な成長期に居合わせて一緒に時間を過ごしたいという男性は、女性同様にたくさんいます。

また母親が父親の育児参加を希望していないわけでもないでしょう。育休が取れないお父さんが多い中、育児はお母さんのワンオペになってしまい、つらすぎていっそ離婚したいというほどギリギリで頑張っている女性もたくさんいます。

育児中の女性が孤独や取り残されたような気持ちを感じたり、女性ばかりが家事・育児を負担するような状況は問題です。それなのに両親が同じように育児ができないのは、社会の問題が大きいと言えます。育休は男性も取得可能ですが、現実的には取りづらい風潮があるのです。