クアッドの仲間だが、最大貿易相手は中国

2022年5月にオーストラリアとフィリピンで新首相、新大統領が誕生した。両国の今後と世界情勢を考えるうえで重要なのは、中国との関係だ。

アンソニー・アルバニージ新豪首相(左)とフェルディナンド・マルコス次期比大統領。
アンソニー・アルバニージ新豪首相(左)とフェルディナンド・マルコス次期比大統領。(写真=ロイター/アフロ)

オーストラリアでは5月21日の連邦議会総選挙で9年ぶりに労働党政権となり、党首のアンソニー・アルバニージ氏が新首相となった。24日には東京で開かれた「日米豪印戦略対話(Quadクアッド)」首脳会合に出席した。

私は「クアッドって何ですか」とつい笑ってしまう。対中国包囲網のひとつだといわれるが、この20年を振り返ると、日本、米国、オーストラリア、インドが集まってうまくいくはずはない。

アルバニージ新首相が自国の利益を考えれば、最大のお客さんは中国だ。2000年代半ばから貿易が急増し、輸出・輸入ともに第1位は中国だ。経済的に中国一辺倒だから、クアッドにしても、21年10月からいきなりバイデン米大統領が言い始めた「IPEF(インド太平洋経済枠組み)」にしても、ほとんど意味不明だ。現在の世界では、オーストラリアだけでなく、どの国も中国抜きにサプライチェーンは考えられない。本音では、害がない限りは日米に言われたとおりに付き合っておけばいい、といったところだろう。