「200万円のキャッシングに手をつけている」相談の電話

そんな田端さんから相談の連絡が来たのは数カ月後のこと。「貯金が底をつき、キャッシングの金額が200万円になってしまった」「この先どうしたらいいかわからない」と取り乱していましたが、その膝の上には最新のブランドバッグがありました。30万円もする高級品で、毎月1万円支払うリボ払いで買ったものだと言います。

たしかに、20代前半という年齢や派遣社員という契約形態、仕事内容を聞く限り、彼女の「インスタ映え」な生活は不思議に感じていた点でした。聞いてみると、キラキラ生活の実態は手取り20万円、そのうちの5万円をリボ払いに費やしている苦しい状態でした。インスタグラマーとして人気を博してはいましたが、PRのようなお金の発生する案件はごくわずかで、生活の足しになるレベルではなかったそうです。

スマホを操作しようとする指
写真=iStock.com/Victollio
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「いいね」欲しさに出費がかさんでいった

田端さんの浪費のきっかけは、やはりSNSでした。たくさんの「いいね」が嬉しくなり、みんなに褒めてもらえるような投稿をするために最新のコスメやファッション、グルメを追いかけ、次第に出費がかさんでいったと言います。最初こそ現金で購入していましたが、すぐに足りなくなってリボ払いに移行。その返済にも困るようになって、キャッシングが200万円になってしまったということでした。

ちなみに、「30万円の買い物をリボ払い」するとどうなるか、です。田端さんの場合、金利15%の元利定額方式という支払方式を取っていて、毎月1万円支払う契約でした。支払総額は37万8000円になります。「リボ払い」は「分割払い」と異なり、残高に対してもどんどん利息がかかります。その利息と元本がきれいにゼロになるには、このケースだと38回、3年間を要するということなのです……恐ろしいですね。

果たして借金を完済したあとも、彼女はあのブランドバッグを使い続けるでしょうか? 私が悲しいのは、田端さんの消費行動が「本心」に基づいたものではないことでした。心から欲しくて、清水の舞台から飛び降りるような気持ちでした買い物は誰にもあるでしょう。私もあります。いつか飽きたり嫌になったとしても、少なくともその瞬間、自分にとって絶対に必要なものだと思えたなら、お金の使い方として間違っていないと思うんです。