帝政ロシアと日本が対決した日露戦争は、世界史においてどういう意味を持つのか。当時の世界情勢の推移を、『バトルマンガで歴史が超わかる本』(飛鳥新社)より紹介する――。(第1回)

なぜロシア帝国は強大な国家になったのか

登場人物紹介
小太郎:ごくフツーの中学生
つきじい:偉大な歴史家トゥキディデスの生まれ変わり

【つきじい】フィンランド、リトアニア、ラトビア、エストニア、ベラルーシ、モルドバ、ウクライナ、アルメニア、ジョージア、アゼルバイジャン、カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギス――。

【小太郎】つきじい、それらの国はなんですか?

【つきじい】ロシア帝国に併合された国のリストじゃ。

【小太郎】ええっ! そんなにたくさん……。

【つきじい】シベリアの少数民族を加えれば、何十にもなる。

【小太郎】ロシアってどうしてそんなに強くなったんですか?

【つきじい】ロシアは2世紀もの間、モンゴル帝国に支配された。しかしロシア人はモンゴルの騎馬戦法を学び、やがて独立してモンゴルに代わる大帝国を築いたのじゃ。

【小太郎】遊牧民に負けないように頑張ったのか……。

【つきじい】19世紀になると、鉄道の建設が始まった。馬や徒歩で移動していた軍隊が、鉄道で大量に移動できるようになったのじゃ。

【小太郎】なるほど!

【つきじい】イギリス海軍は蒸気船で世界の海を支配したが、ロシア陸軍は鉄道でユーラシア大陸を支配した。陸のロシアと海のイギリス――両国は、世界中で衝突しはじめた。前回アヘン戦争を勉強したな。

【小太郎】はい。

【つきじい】イギリス・フランス連合軍が北京に攻め込んだとき、ロシア軍も南下して清から領土を奪った。ロシアはここにウラジオストクという軍港を建設し、海に出てきた。