ロシア・ウクライナ両国の死者数はそれぞれ1万人以上に及ぶ可能性がある。戦時下での弔いの現実はどんなものか。ジャーナリストで僧侶の鵜飼秀徳さんは「今回、命を落とした兵士の中には戦地で無名戦士として埋葬されるケースや山間部に放置されて苔むす遺体も出てくるだろう。第二次世界大戦で日本人の戦没者310万人中、240万人は海外で亡くなり、未収容遺骨数は112万柱です」という――。
兵士サルーテの国旗の夕暮れ
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路傍の遺体を飢えた犬が食べているという凄惨な状況

ロシアのウクライナ侵攻によって、両国に多くの死者が出ている。発表元によってばらつきがあるため、正確な数字はわからないが、ロシア・ウクライナ両国の死者数はそれぞれ数千人、あるいは1万人以上に及ぶという。

かつて第二次世界大戦時の日本では、300万人以上の戦没者を出した。「戦後」はいまなお続いており、世界各地で遺骨の収容が続けられている。本稿では、戦時下での弔いをみていく。

ウクライナでは東部マウリポリなどを中心に兵士、民間人の死者が増え続けている。手厚く葬儀ができず、埋葬も追い付いていない。路傍には遺体が転がり、飢えた犬が食べているという凄惨な状況も伝えられている。共同墓地の片隅に墓穴を掘って、集団埋葬しているありさまだ。

他方、ロシア国内ではウクライナで戦死したロシア兵士の遺体が続々、戻ってきている。ロシア側は3月2日までに498人の戦没者数を発表したが、それ以降は更新されておらず、実態は不明である。戦没者の増加に伴って、遺体がロシア国内に戻り、あちこちで葬儀が実施されると、戦争への嫌厭ムードが広がり、プーチン政権への反発へとつながりかねない。

英国の公共放送BBCは20日、ロシア軍副司令官の葬儀・埋葬に密着した番組を放送した。

番組では、「いったい、何人のロシア兵がウクライナで命を落としたかわからない。ロシア各地で、大勢の戦没者遺族が苦しんでいる」と伝えた。自国に遺体が戻されるのはまだいいほうだ。戦地で無名戦士として埋葬されたり、あるいは山間部に放置されたりすれば、苔むす遺体も出てくることだろう。

プーチン大統領はウクライナでの戦死者の遺族にたいし、1人あたり742万ルーブル(約732万円)の弔慰金を支給することを発表したが、戦争が長期化すればその補償もどうなるかわからない。