2012年2月21日(火)

東京電力にとって「ラッキー」だったこと

『ほんとうにいい会社が一目でわかる有価証券報告書の読み方』【第4回】

PRESIDENT BOOKS /PRESIDENT Online スペシャル

著者
秦 美佐子 はた・みさこ
公認会計士

秦 美佐子

早稲田大学政治経済学部卒業。大学在学中に公認会計士試験に合格し、優成監査法人勤務を経て独立。在職中に製造業、サービス業、小売業、不動産業等、さまざまな業種の会社の監査に従事する。上場準備企業や倒産企業の監査を通して、飛び交う情報に翻弄されずに会社の実力を見極めるためには有価証券報告書の読解が必要不可欠だと感じ、『「本当にいい会社」が一目でわかる有価証券報告書の読み方』(プレジデント社)を執筆。他に経営に活かせる会計をテーマにした『会計士マリの会社救出(秘)大作戦!』(すばる舎)などの著書がある。

公認会計士 秦 美佐子
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本連載も最終回です。前回は、「東電にとってラッキーなことって一体なに?」とさくらが問いかけるところで終わりました。平成23年3月期の「ユウホウ」から読み取れるのは、東電は1兆円もの当期純損失を計上したにもかかわらず、現金を2兆円も増やしたということです。どうやらここに「ラッキー」だった理由が隠されているようです。

なぜ東電はラッキーだったのか。そのヒントは『第1【企業の概況】1【主要な経営指標等の推移】』に隠されている……と佑真は説明を始めた。

「現金及び現金同等物の期末残高」を見てごらん。前期に比べて2兆円以上も増えているだろう。次にキャッシュ・フロー計算書も見ていこう。

会社のお金がどのようにして増えたのか、あるいは減ったのかについては、キャッシュ・フロー計算書に記載されているんだ。これは会計期間におけるお金の増減を計算するもので、その増減理由を営業活動、投資活動それから財務活動に区分表示している。

会社のお金が増えたのは、ただ単に営業で儲かったからという理由では片づけられないときがある。例えば本業で儲からなくても、株式投資で儲かる場合だってあるし、銀行からの借入でお金が増えることもある。このようにお金の増減理由は一様ではないんだ。それを明らかにするためにキャッシュ・フロー計算書がある」

「知っているわ。キャッシュ・フローの主な指標については『連結経営指標等』に載っているんでしょ」

さくらは得意気に鼻を鳴らした。

「ほら、『現金及び現金同等物の期末残高』の上にあるよ」

「『営業活動によるキャッシュ・フロー』、『投資活動によるキャッシュ・フロー』、『財務活動によるキャッシュ・フロー』の3つの数字が開示されているから、それらを確認することで、お金の増減理由が何によるものなのかがわかるわ」

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