東京電力の平成23年3月期にかかる有価証券報告書を見たさくらは、あることに気づきます。『第1【企業の概況】1【主要な経営指標等の推移】』によれば、東京電力は平成23年3月期までの5年間において、3期も大幅な当期純損失を計上しているのです。平成23年3月期では東日本大震災の影響で1兆円もの赤字になってしまいましたが、平成20年3月期には1,501億円、そしてその翌期には845億円もの当期純損失となっています。

中越沖地震の後遺症

東京電力の経営はなぜ震災以前から安定していなかったのでしょうか。その点を読み解くために、今回もさくらと佑真に登場してもらいましょう。

「東京電力って業界でトップだし、普通に経営していれば儲かってそうなイメージがあるのよね。なぜ経営が安定していなかったのかしら。まずは平成20年3月期の赤字要因が知りたいわ」

さくらは上目遣いで佑真を見た。

「その期は経常利益がちゃんと出ているから、事業所の閉鎖やリストラといった特別な理由で当期純損失となったんだろうな。会社の業績背景は、有価証券報告書の『第2【企業の状況】1【業績等の概要】』で確認することができるんだ」