銃乱射犯の87%が「有名になりたい」「注目されたい」

21年4月17日、米メディア・INSIDERで、ヴァンダービルト大学のCenter for Medicine, Health, and Societyのダイレクター、ジョナサン・M・メツェル博士は「注目を浴びる銃乱射事件があると、強い模倣現象が起こることが歴史的に分かっています」として、こう述べている。

「ニュースで1つの事件が報じられると、たくさんの模倣事件が誘発される傾向があるので、人々は波及効果を感じます。1つの事件がもう1つの事件を引き起こし、またそれが次の事件を引き起こすのです」(ビジネスインサイダー 21年4月21日

銃乱射事件が発生してメディアが犯人の素顔を深堀りして、テッド・バンディやリチャード・ラミレスのように「有名人」になってしまうことで、そこに影響を受けた人々、触発された人々が模倣犯になっているというのだ。

実際、米LAタイムズ紙によれば、銃乱射事件の犯人の87%が「有名になりたい」「注目されたい」という欲求を持っているという研究結果がある。また、多くの犯人が、過去の銃乱射事件の犯人を「ロールモデル」や「憧れの存在」と見ていたことがわかったというデータもあるという。

過去の事件に刺激され、学習していく犯人たち

実はこれは日本にもそのまま当てはまる。アメリカの銃乱射事件にあたる、市街地や小学校などで刃物を振り回す無差別襲撃事件の犯人のほとんどは、過去の無差別襲撃事件の犯人を「ロールモデル」に見ている。

例えば、1999年9月に池袋で死者2名、負傷者6名の通り魔事件が起きた。その約3週間後、下関駅の構内に自動車に突っ込んで、利用者を次々と跳ねた後、刃物で切りつけて死者5人、負傷者10人が出た通り魔事件が起きた。犯人は公判の中で池袋の事件を意識したことを認めて、このように述べた。

「池袋の事件のようにナイフを使ったのでは大量に殺せないので車を使った」

池袋の事件後、メディアは連日のようにこの事件を報じた。筆者も当時は新米記者だったのでよく覚えているが、今とは比べ物にならないほど報道は過熱しており、犯人の素顔、人柄、周囲にどのようなことを語っていたかということを競い合うように大きく報じていた。それに下関の事件の犯人はインスパイアされ、学習して、犯行に及んでいたのである。

そんな「池袋事件の模倣犯」が大きく報道されて有名人にまつり上げられれば、新たな模倣犯を呼ぶのは明らかだ。2001年6月に大阪教育大学附属池田小学校に侵入して児童や教師を次々と刃物で刺し、死者8名、負傷者15名を出した犯人だ。実際にこの男は公判で、下関の事件の模倣犯になりたかったと述べている。