頭痛薬にも控除が適用される

セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額についての医療費控除の特例制度)は、4年前に新設されたものです。

1月1日から12月31日までに購入した対象薬の総額が一世帯合計で1万2000円以上となる場合、上回った分に対してこの控除が適用されます(上限は8万8000円)。一般的な医療費控除は、医療費の額が10万円を超えないと受けられませんが、こちらは少しハードルが低くなっています。

ドラッグストアで売っている薬で、パッケージやレシートに「セルフメディケーション税制対象」というマークがついている商品が対象です。かぜ薬から胃腸薬、頭痛薬から肩こりの湿布まで、身近な薬のほとんどがカバーされていると言っていいでしょう。

ドラッグストア
写真=iStock.com/katleho Seisa
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家族全員分の今年のレシートを確認して合計金額が1万円だとしたら、なくなりそうな薬を年内にまとめて買い足すだけで、控除の対象になります。

例えば、年収400万円の30代の女性が、家族4人分の対象医薬品を5万円分購入した場合、5万円-1万2000円=3万8000円が所得控除され、所得税は7600円、住民税は3800円、合計1万1400円がカムバックします。

レシートを集めたり自分で確定申告をしたりする手間を考えると、コスパが悪いと思う人もいるでしょう。しかし、薬は20%オフでゲットできたことになりますし、ちょっとした飲み代ぐらいにはなりますよね。

私にはドラッグストアのレジ横にあるレシート入れがドル箱に見えるぐらいです。

扶養家族、本当にいませんか

会社の年末調整で「扶養家族なし」として超高速で書類提出を済ませた人、ちょっと待ってください。扶養と聞くと、同居している家族が真っ先にイメージされると思います。

しかし本当は、養っている実態がありさえすれば、離れて暮らしている親族でも自分の扶養に入れられる可能性があります(しかも6親等まで)。そして、これが結果的に税金を引き下げることにもなるのです。

次のモデルケースを見てみましょう。

<東京で暮らす年収600万円の40代男性。共働きで生活に余裕があるため、北海道に暮らす父母に月々それぞれ10万円の仕送りをしている。父は月々10万円の年金に加え、月々10万円のアルバイト収入がある。母の収入は月々5万円の年金のみである>

① 母が父の扶養に入る場合
父の所得税:0円
息子の所得税:35万5800円
② 母が息子の扶養に入る場合
父の所得税:8600円
息子の所得税:25万7800円

母の扶養を、同居する父ではなく収入の多い息子に紐づけるだけで、息子の所得税が10万円近く減っていることがわかります。父の税金は約1万円増えていますが、最大多数の最大幸福のためなら許容範囲内でしょう。