カーネル・サンダースからも調理方法を教わった

——ところで、KFCのカーネル・サンダースはお年を召されてから起業されていますよね。

64歳ですからね。それまでに18回仕事を失敗したんです。KFCもカーネルは親善大使のような存在で、実務はカーネルの後ろにいたピート・ハーマンがしていました。カーネルは好きなワイン4ケースでイギリスの権利を売るような人でしたから。

私は、日本のお店が上手くいかないので、現場で本物を見せてほしいと1971年の春頃からアメリカに渡りました。アメリカにいる間に親会社が売られてしまって、本社でうろうろしていたら、ピートが肩を叩いて「お前、困るだろう」と声をかけてくれたのです。ピートはサンフランシスコの自宅に連れて行ってくれて、そこで訓練をしてくれました。タダじゃ駄目だというので、何をやるのかと思ったら、馬のブラシと犬の風呂入れ。それをやりながら、何週間かピートのところにお世話になったのです。だから、フランチャイジーに育ててもらったのが本当のところです。それでフランチャイズってすごくいいなと思ったんですよ。

もちろん、カーネルからも直接調理方法を教わりました。日本にも何回か来てくれたし、孫のようにかわいがってもらいました。直接教わったのは、もう私しかいないんじゃないかな。カーネルとピート、ふたりにもとても良くしてもらいました。

雲の上を飛ぶ飛行機
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フランチャイズは無理して広げない、パートさんを大切にする

——KFCはコロナ禍でも業績がとてもいいですね。

私が社長の頃に決めたことが、今も生きていて、それで業績が安定していると、今の社長からも感謝されています。国産の鶏を使う、現場主義、素材、フランチャイズも無理をして広げないといったことですね。あの当時、どこもフランチャイズをどんどん増やした。そうすると、自店間競争で大変なんです。だから、それをやらずに都道府県に1社ずつ。それで、投資をしたら償却が終わって再投資できるまでゆっくりと待つ。

それから、正社員だけではなくパートさんを大切にすること。自分がハワイに行って楽しいからみんなも行きたいだろうと思って、毎年コンテストを行い、全国から成績の良い方を集めてハワイに行きました。累積で5000人はいるのではないかと思います。