拘束されたアメリカ人ジャーナリストの解放に関与

11月15日、少し不思議なニュースが流れた。2月以降1280人以上の市民を死亡させる抑圧を続けているミャンマー国軍が、拘束していたアメリカ人ジャーナリストのダニー・フェンスター氏を解放した。その際「笹川陽平・日本財団会長らの働き掛けを受けて解放した」と表明したのである。

ミャンマー/ミャンマー国軍司令官と笹川氏
写真=時事通信フォト
2021年11月13日、ミャンマーの首都ネピドーで会談する国軍のミン・アウン・フライン総司令官(右端)とミャンマー国民和解担当日本政府代表の笹川陽平氏(左から2人目)[ミャンマー国軍提供]

言うまでもなく、笹川陽平氏は、日本社会で比類なき「大物」である。その政界・財界における影響力は、比較の対象が見つからないほどだと言えるだろう。同氏が会長・名誉会長を務める日本財団と笹川平和財団は、国際協力分野においても、独特の存在感を持って君臨している。シンクタンク政策研究の分野においてすら、やはりそうだと言える(*1)

笹川陽平氏は、笹川良一氏の非嫡出の三男であるが、後に本妻との間に子を持たなかった良一氏の戸籍に入り、良一氏が創設した日本財団(旧・日本船舶振興会)の会長職を継いだという点で、華麗な「笹川一族」の中心人物である。兄弟に、自民党の衆議院議員だった次兄の堯氏などがいる。陽平氏の次男が、日本財団の常務理事(業務執行理事、経営企画部・コミュニケーション部担当)を務める順平氏(株式会社ナスタ代表取締役社長)だ。