自民党が変わらなければ、日本は良くならない

毎日社説は書く。

「党総裁選では、新自由主義から転換し『分配』を重視する姿勢を訴えていた。ところが、肝煎りで始まった政府の『新しい資本主義実現会議』」は、軸足が『成長』に移ったように見える」
「他にも複数の有識者会議を設置したが、安倍政権時代の主要メンバーが起用される例が目立つ。これではアベノミクスを継承するだけで、首相が目指すべき方向性が見えない」

自民党はアベノミクスを「成功」と自負する。しかし、富裕層と低所得者層のと格差は大きく広がり、この格差の是正が社会問題となっている。

自民党の総裁選(9月29日)を前に若手・中堅の国会議員の間からは党内改革を求める声が上った。岸田首相はそんな声に押されて総裁選に立候補した。だが、岸田首相は首相の座に就くと、安倍氏や麻生氏に近い甘利明氏を幹事長に充てるなど改革とはほど遠い党役員人事を行った。いつの間にか改革の声は潰され、逆に安倍氏の影響力は強まり、安倍氏は11月11日には党内最大派閥の細田派に返り咲いて会長に就任し、安倍派を発足させた。

首相経験者がそのまま権力を維持するのは民主主義国家として健全ではない。岸田首相には総裁選に出馬したときの決意を忘れないでほしい。そして機会を捉えて党内改革を断行すべきである。自民党が変わらなければ、日本は良くならない。

自由民主党本部
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毎日社説も安倍派発足に絡んでこう訴える。

「安倍政権以降、政策決定のあり方は様変わりした。官邸主導によるトップダウンが強まり、党の多様な意見を吸い上げる機会が少なくなった」
「首相は『聞く力』をアピールしている。政府よりも党の力が強くなる『党高政低』への変化も指摘される中、誰の意見を聞いて、どのような決断をするのか。首相には指導力が求められる」

一国の首相に強く求められるのは指導力である。岸田首相の指導力には未知の部分が多く、沙鴎一歩も不安視している。こうした見方を、ぜひともはね返してほしい。

覇権主義を強める中国にどう対峙してくか

産経新聞の社説(11月11日付、主張)はその中盤でこう訴える。

「外交安全保障の分野でも、速やかに諸課題に取り組んでもらいたい。首相は初の外遊として英国を訪問し、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)首脳級会合に参加した。次は早期訪米を実現し、バイデン大統領との会談で、対中国戦略をすり合わせるべきだ」

見出しは「外交安保もスピード感で」である。

岸田首相は長い外相経験があるだけに外交の滑り出しはまずまずだ。問題は覇権主義を強める中国にどう対峙してくかである。徴用工訴訟や慰安婦問題の解決が進まない韓国との交渉、それに北朝鮮の核・ミサイル開発問題と日本人拉致事件の解決も重要な課題である。

産経社説はさらに主張する。

「林外相は岸信夫防衛相とも連携して、日米2プラス2や国会などで、対中抑止に努める姿勢を明確に発信する必要がある。日本は同盟国米国や英国、オーストラリアなどの有志国と協力して中国の覇権主義を抑止しなければ平和を保てない時代となったからだ」
「中国は深刻な人権弾圧を繰り返し、尖閣諸島(沖縄県)を狙っている。岸田政権は、習近平国家主席の国賓来日を白紙撤回しなければならない」

中国の覇権主義を抑止するには、友好国との協力が欠かせない。アメリカなどとともに中国包囲網を推し進めるべきである。国際社会に与える影響が大きいだけに中国の習近平国家主席の国賓来日の是非も、検討すべき重要なテーマである。