「接続詞」次第で説得力が増す

次に、プレゼンターが心がけるべき意外に大事なことをお伝えします。それは、「言葉のつなぎ方」です。

リボンフレーム(図表1)でつくった企画書の特徴は、企画書自体が大変ロジカルにきっちりつくられていることです。つまり極端な話、企画書を棒読みすれば、言いたいことは伝わるはずです。

【図表1】企画書づくりの図式化

しかし、プレゼンターの姿勢のところで「プロフェッショナル性」が必要と述べたように、いかにプロフェッショナルな雰囲気をまとわせるかが勝負になります。その時、意外に大事なのが「つなぎ言葉」です。企画書の文章を、いかに適切な言葉でつなぎ、補強するかが重要なのです。

有効な「言葉のつなぎ」を加えることで説得力が俄然異なってきます。

( )の部分が、企画書に新たに加えた補強の文章や接続詞です。「今回の課題の考え方ですが、(売り上げ不振の)原因①、(すなわち、)本を買って読む人の減少は、いち本屋での解決は難しい(でしょう。)(ならば、)もう一つの要因、(つまり、)ネットに流れているお客様を何とかすること(に課題を設定します。)(何故なら、)他の本屋のように何らかの活動をやって存在感を増すことで、この本屋さんのかつてのファンを引き戻すことができれば、客離れを解消できる(可能性があるからです。)」

この中で、( )の部分は、企画書には書いてありません。それをプレゼンターが適切に付け足すことで話がスムーズに流れるのです。

プレゼンはやればやるほどうまくなる

また、同様に重要なのがプレゼンの「冒頭と締めの言葉」です。

須藤亮『トッププレゼンターが教える「企画書とプレゼン」実践講座』(日本実業出版社)
須藤亮『トッププレゼンターが教える「企画書とプレゼン」実践講座』(日本実業出版社)

例えば、「今回、御社の期待に応えるため我々の知恵を総動員して考えてまいりました」とか、「我々の提案によって御社の懸案の課題が解決できると確信しております」とかいう言葉です。

プレゼンターの態度として、「熱意」や「謙虚さ」が大事だと言いましたが、プレゼンの冒頭部と最後の締めの言葉を選ぶことで、このような態度が相手に伝わり、好感が持てるものとなるでしょう。

やればやるほどうまくなるのは、ものの上手のたとえではありますが、特にプレゼンはその効果が現れやすいものです。

何故なら、プレゼンは当事者を含め多くの人が見ています。ということは、他人の評価が付いて回るということです。

プレゼン後は、プレゼンを受けた側も同席した仲間も、ああだこうだと意見を言うはずです。それは企画書の評価であり、プレゼンの評価であり、結局プレゼンターの評価になって返ってくるのです。

この評価の声が必然、反省材料となったり、自分の癖や特徴を知る絶好の機会となったりします。

そして、次のプレゼンではそれを踏まえてどうやろうかというマインドが働き、結果的にどんどんプレゼン力がついていきます。