職場に「うつ貴族」がいる場合の対処法

最後に③について。新型うつ病は従来型うつ病とは異なる原因に根差した「うつ状態」なのであり、必ずしも「うつ貴族」的なアンフェアで卑怯ひきょうで厚かましい人たちとは限らない。でもうつ貴族は大いに目立ち、結果として悪貨が良貨を駆逐してしまったかのような気配は感じられる。率直に述べれば、やはりパーソナリティーに問題を抱えた人たちが一定数いて、彼らの振るまいが新型うつ病のイメージを悪くしている。

春日武彦『あなたの隣の精神疾患』(インターナショナル新書)
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とはいうものの、そんな彼らも苦しんではいる。自らを周囲に理解してもらえぬ被害者だと考え、うつ貴族なんて名称と自分とは断固無関係だと信じている。そのようなすれ違いがなおさら事態を面倒なものにしている。

ではそのように周囲を困らせるタイプの新型うつ病への対処はどうすべきか。

だらだらと休ませるのは感心しない。担当医と連携しつつ病欠にはしっかりと期間を限定し、「けじめ」をつける。環境調整や異動などで本人への応援は試みるものの、それで追いつかないとしたら、むしろ会社そのものと本人との反りが合わないわけで、それは誰それが悪いといった話ではなくまさに相性の問題である。もっと本人に相応しい別の組織や分野で活躍してもらう形で話し合いを進めたほうが良いだろう。腫れ物に触るような態度で曖昧に接していては、互いに不満が募るだけである。残念ながらもうこれ以上あなたに配慮したり譲歩するのは無理なんです、と手の内を明かす姿勢で話し合いをしたほうが現実的だと思う。

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