マツダ製FRセダン化の可能性

もう1つのセダンの可能性は、マツダが開発しているFRセダンのプラットフォームを活用する方法である。

マツダは直列6気筒エンジンを搭載した大型FRセダンの開発(エンジンもプラットフォームも新開発)を進めているが、マツダブランドだけでその投資に見合う販売台数を確保するのは難しいのではないか。提携先のトヨタにトヨタブランドのモデルを提供して生産量を稼ぐというのは大いにあり得る話である。

トヨタは販売台数が見込めないFRのスポーツカーは他社との提携によって作るという方針をとっており、スープラの中身は事実上BMWで生産はオーストリア、GR86もスバルが開発を主導し、生産もスバルで行っている。この流れから考えれば、マツダ製FRセダンは極めてあり得る話だと思う。

しかし問題はクラウンという「トヨタの魂」ともいうべきブランドを他社製のものにする決断ができるかどうかだ。そう考えるとこの可能性はほぼ無く、実現するとすればクラウン以外の新しいブランドか、次期レクサスISあたりだろう。

クラウンの高級感を生かすブランド戦略

セダン以外の車型はどうだろうか。最も可能性が高いのは大型ミニバンであると考える。最近、都内を走っていると黒塗りのアルファードをよく見かける。VIP用の社用車や、ハイヤーとしてアルファードを使うケースがかなり目立ってきているためだ。

大型ミニバンはセダンよりも室内が広く快適であり、乗り降りも楽なのでこの流れはさらに加速していくだろう。そのような需要を満たすために、アルファードには超豪華な700万円以上する高級グレードもある。

ただしアルファードはあくまでミニバンであり、主力は400万円台でファミリーユースが基本で、外観上の差別化ポイントも少ない。

ここでアルファードとは一線を画すフォーマル感・高級感のあるクラウンブランドのミニバン(というよりリムジンと言うべきか)として登場すれば、見事にこの需要にまるはずである。そうすれば丸の内や永田町にクラウンバッジの付いた黒塗りの車が再びあふれるはずだ。