「まさに菅政治の本質と限界を露呈した」

さらに「(新型コロナ対策で失態を繰り返した)にもかかわらず、先月下旬の記者会見では『(収束に向けた)明かりははっきりと見え始めている』と述べ、我慢を強いられている国民との認識の乖離が浮き彫りになった」と書き、こう指摘する。

「この1年間、問われ続けたのは説明を軽視する首相の姿勢だ」
「首相は国民と真摯に向き合おうとしてこなかった」
「強権的な手法も反発を招いた」
「最後までなりふり構わずに人事権を振りかざして物事を動かそうとしたのは、まさに菅政治の本質と限界を露呈したものだった」

首相の人事権を振り回すやり方は卑劣で、最後は自民党内だけではなく、国民にも見捨てられることになった。

デジタル庁創設、携帯電話料金値下げ、処理水放出…

産経社説(主張)は「自民党総裁選や衆院選での勝利がおぼつかないと考えたのだろう。菅義偉首相が総裁選不出馬を表明した。短命政権に終わるが、国難である新型コロナウイルス禍への対応をめぐり、国民の厳しい視線にさらされているだけにやむを得ない」と書き出し、こう訴える。

「コロナとの戦いを緩めてはならない。加藤勝信官房長官、田村憲久厚生労働相、西村康稔経済再生担当相、河野太郎ワクチン担当相ら関係閣僚も菅首相の言葉通り、次の内閣発足までわき目もふらずコロナ対策に当たってほしい。総裁選に関わる暇はないはずだ」

総裁選への出馬を前向きに検討している閣僚に釘を刺したつもりだろうが、閣僚以外なら出馬に全力投球しても構わないとも受け取れかねない書きぶりである。

一方、朝日社説や毎日社説と違い、産経社説は菅政権を評価できる点も挙げる。

「菅首相は『国民のために働く内閣』の看板を掲げ、デジタル庁創設や携帯電話料金値下げを実行した。懸案の東電福島第1原発の処理水をめぐり、海洋放出の方針を決めた。気候変動対策で脱炭素へ舵を切った」

「外交安全保障政策は安倍前政権を継承して手堅く進めた。アフガニスタンの退避作戦以外は成果をあげた。バイデン米大統領との首脳会談では『台湾海峡の平和と安定』の重要性を確認し、日米同盟や先進7カ国(G7)、日米豪印の枠組み『クアッド』で対中抑止強化を戦略的に進めていた」

朝日や毎日と違い、産経社説が菅政権を一部で評価したのは健全だ。批判もすれば、評価もする。新聞が「公器」で、その社説が「新聞の顔」といわれる以上、バランスを欠いてはいけない。一方的な主張を続けるだけでは、長期的には読者の支持を失ってしまうはずだ。

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